生成AIの旗手「Perplexity」事業責任者に聞く ソフトバンクと協業する狙い
生成AIの発展によって、さまざまな分野で技術革新が起きている。日常業務で使う検索エンジンでも、上位に生成AIによる検索結果の要約が表示されるようになった。 【写真を見る】Perplexityに「アイティメディアの記者はPerplexity CBOに、どんな質問をすればいいか」と入力した際に回答 このAIによる検索エンジンを深化させたのが、米サンフランシスコに本社を置くAIスタートアップPerplexity(パープレキシティ)社が展開する「Perplexity AI」だ。Webからの情報源を用いて回答を生成するだけでなく、回答文中に根拠となる情報源を引用する機能を持つのが特徴だ。無料版のPerplexityに加え、より高度な機能が利用できる有料版の「Perplexity Pro」を提供している。 国内ではソフトバンクと提携し、ソフトバンク利用者であれば、このPerplexity Proを1年間無料で提供するキャンペーンを展開中だ。ソフトバンクと組む狙いは何か。同社のドミトリー・シェヴェレンコCBO(最高事業責任者)に聞いた。
営業社員の得意先のリサーチを50倍早める “驚異的な仕組み”は?
――Google検索は世の中を変えたものの一つですが、Perplexityは生成AIと共にこのGoogle一強の構図に挑戦していると思います。シェヴェレンコCBOは検索エンジンそのものを変えていきたいお考えなのでしょうか。 既にわれわれは世の中を変える仕組みを提供していると自負しています。今までのインターネット30年間の歴史の中で、まず検索というのは、キーワードを入力するとURLが返ってきた時代でした。そして今では、LLM(大規模言語モデル)が世の中を画期的に変えました。質問を入力すると、自然言語で回答が返ってくる時代になりました。 われわれが最も貢献していると考えるのが、人々の作業時間の削減です。作業時間を削減することによって、ナレッジワーカーは自分の専門分野のリサーチをより深掘りできます。生産性も高くなります。Perplexityを活用することによって、自分がさらに堀り下げたいテーマの概要がすぐに提供されます。ナレッジワーカーは自分の調べ物を次々と深められます。 もう一つ素晴らしい機能だとわれわれが考えるのは、最初の回答を表示すると、その下に関連して「こんな質問もありますよ」という情報を提示する仕組みです。質問者の約45%が、さらなる質問をしていく結果が出ています。ナレッジワーカーが次々と質問することによって、自分のテーマを掘り下げ、さらなる知識を得て、最終的に自分が求めていた解にたどり着くわけです。 ――日本国内では、既に経営層への利用も広まっていると聞きます。経営者の時間を節約できる面は大きいのでしょうか。 経営幹部だけでなく、一般社員においてもPerplexityは時間削減に貢献できます。例えば営業の社員が得意先のリサーチをしているなら、Perplexityを使った場合は通常のやり方よりも50倍早くその作業を完了できます。 取材においても同様だと思います。例えば今日、PerplexityのCBOに会う予定なら、Perplexityに「アイティメディアの記者はPerplexity CBOに、どんな質問をすればいいですか」と入力すると、なかなか良い返事が来るはずです。 なぜ的確な回答が来るのか。それは、その質問を入力すると、ネット上で私の情報、Perplexityの情報、アイティメディアの情報を全部引っ張ってきて、その後AIが論理的にそれらの情報を合成し、最終的に「こういった質問をしてみたらどうですか」というリストを上げてきてくれるからです。翻訳にも対応しています。 ――翻訳付きの回答に、指定ができるのも生成AIならではですね。 翻訳の機能も素晴らしいと思いますが、それは本当に最後のおまけみたいなものですね。この仕組みの素晴らしいところは、正しい情報源にたどり着き、文脈に応じた形でそれを合理的に、論理的に処理できることです。