ありがとう「RX-7」 免許返納した長崎の80歳女性、誕生日にマツダに譲渡「奇跡の1台」
世界的に希少なスポーツカー「RX-7」(セブン)を四半世紀乗り続けてきた長崎市の主婦、西本尚子さんが80歳の誕生日を迎えた18日、運転免許証を返納し、製造元のマツダ(広島市)に愛車を譲渡した。“相棒”に贈った最後の言葉は「ありがとう」。セブンは今後、同社の広報車として新たな道を歩んでいく。 25年前、車好きの西本さんはテレビアニメに登場したセブンに一目ぼれし、すぐに店に行き、購入した。「道路と車と自分の体が一体化するような感じ」。セブンの魅力をそう語り、大切に乗ってきた。 今も運転操作への不安はないが、80歳を節目に免許返納を決断した。9月、テレビや新聞でその決断が報じられ、愛車を受け継いでくれる人を募集したところ、全国から応募が殺到。約400通のメールの中の一つがマツダからの広報車として活用していきたいという提案だった。 18日、九州マツダ赤迫店(長崎市赤迫3丁目)で譲渡式が開かれた。マツダ国内営業本部の土井耕輔本部長は「西本さんが愛車とともに過ごしてきた豊かな物語を引き継ぎ、広報車として新たな物語を紡いでいく」とあいさつ。西本さんは「寂しさはない。マツダに行って(愛車が)たくさんの人に見てもらえることがうれしい」と幸せそうに語った。 西本さんのセブンは総走行距離約7万7500キロで、ワンオーナーのノーマル車。25年経ったとは思えない良好な状態に土井本部長は「奇跡の1台」と表現した。同社によると、広島で整備後、広報車を管理している横浜の拠点に移動。来春には撮影用にマスコミに貸し出したり、イベントの際に走行させたりするなど“第二の人生”が始まる予定だ。