復帰した宮原知子は五輪に行けるのか。NHK杯5位をどう評価すればいいのか?
FSの演技構成点も68.52点で、これも同じくFSの自己ベスト時の70.45に比べて、わずか1.93点及ばないだけの高得点だった。 ただFSではジャンプにミスも目立った。冒頭の3回転ループは成功、続く3回転ルッツ-3回転トゥループのコンビネーションジャンプも着氷したが、続く3回転フリップは2回転になり、後半も2回転アクセルからのコンビネーションジャンプはタイミングが合わずに連続にできず3回転サルコーも跳びきれなかった。 このあたりの原因は、やはり左股関節への不安にあるのではないか、というのが中庭氏の分析だ。 「サルコージャンプは、左足でバランスをとりながら右足の太腿を振り上げながら、左足のインサイドで跳ぶので左足への不安が出やすいジャンプです。またショートでは、ルッツの回転不足をとられました。ルッツ、フリップは、右足のトゥ(つま先)で踏み切りますが、左足の使い方がとても重要で、左足の滑りや動きがスイッチになって両足で跳ぶジャンプなのです。宮原選手は、まだ左足に不安があるので、右足のトゥ頼みになってしまっているのかもしれません。ここが、まだ練習の足りていない部分かもしれませんが、次のスケートアメリカまで中1週間あり、全日本までは、1か月以上あります。修正は可能でしょう。スケート界で宮原選手の練習量の凄さは有名です。今回は、そこに不安を抱えた状況で、しかも、いきなり復帰戦が、NHK杯というプレッシャーのある大舞台でした。その点を考慮しても五輪代表争いで非常に期待が持てる存在になったと思います」 2枠しかない平昌五輪代表争いは、ロシア杯3位、中国杯2位の樋口新葉が一歩リードしている。GPファイナル出場は、まだ微妙で他ライバルの今後の結果待ちだが、出場することができれば大きなアドバンテージを得ることになる。しかし、「これから体力を戻して調子を上げていく」という全日本3連覇の宮原が、次戦のGPシリーズのスケートアメリカで、さらに復調し、代表争いの大一番となる全日本選手権にピークを合わせてくれば、本来、大本命だった彼女も、また代表有力候補の一人になることは間違いない。