平均賃上げ率「5%超え」だが…「賃金と物価の好循環」実現のための“重要な要素”とは?【解説:三井住友DSアセットマネジメント・チーフマーケットストラテジスト】
今年の大幅な賃上げ見通しは好材料だが賃上げ継続には労働生産性の持続的な上昇が必要
こうしたなか、国内では賃上げの機運が高まっており、2024年の平均賃上げ率は、2023年実績の3.58%を上回り、5%を超える見通しです。物価の伸びを上回る大幅な賃上げで、実質賃金と消費が増えれば、企業はサービス価格や製品価格に人件費を転嫁しやすくなり、国内物価の持続的・安定的な伸びが期待されます。これが日銀の重視する「物価から賃金、賃金から物価の双方向の好循環」です。 ただ、実質賃金(時間あたり雇用者報酬)は、「労働生産性」に「労働分配率」をかけたものであるため、例えば労働生産性が上昇しないまま、実質賃金を引き上げようとすると、労働分配率の引き上げが必要となります。しかしながら、この場合、資本分配率が低下し、企業は成長を維持できなくなります。したがって、賃上げの継続には、労働生産性の持続的な上昇が必要であり、これが賃金と物価の好循環が実現するための重要な要素と考えます。 (2024年4月9日) ※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『平均賃上げ率「5%超え」だが…「賃金と物価の好循環」実現のための“重要な要素”とは?【解説:三井住友DSアセットマネジメント・チーフマーケットストラテジスト】』を参照)。 市川 雅浩 三井住友DSアセットマネジメント株式会社 チーフマーケットストラテジスト
市川 雅浩,三井住友DSアセットマネジメント株式会社
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