家入レオ新曲は『ミス・ターゲット』主題歌、「僭越ながら、この曲ドラマに合っているんじゃないかなと(笑)」
家入レオがニューシングル「ワルツ」を5月22日(水)にリリースする。表題曲はドラマ『ミス・ターゲット』(ABCテレビ・テレビ朝日系)の主題歌として、家入が書き下ろしたミディアムバラード。同曲に込めた想いを語ってもらった。 【写真】写真家・佐内正史によるシングル「ワルツ」ジャケット ■“好き”って、強くもなれるけど、人を弱くするものでもある ──本作はドラマ『ミス・ターゲット』の主題歌を書き下ろし。ドラマのどのようなところからインスピレーションを受けて、曲に落とし込んでいったのでしょうか? すみれさん(※松本まりか演じる主人公の朝倉すみれ)は結婚詐欺師で、本当は思っていない愛の言葉を言えてしまったり、その気がないのに気があるような仕草ができてしまったりするんですけど、それは気持ちがないから。本当の恋をすると、手も足も出ないというドラマのプロットを読んだときに、「恋に向かっていく人の気持ちって無防備でか弱いんだな」「みんなそうなんだな」ということが自分の中でストンと落ちて。 私は今まで恋をして、さよならしたときに、苦しすぎて「出会わなきゃよかったな」って思うこともあったんです。だけど、この曲を書いているときに、別れの痛みを越えて「『この人に出会えてよかったな』って思えるって、すごく宝物だし、世界がキラキラして見えるな」と思った。 結末はわからないですけど、ドラマはすみれが逮捕されたシーンから始まっていますよね。つまり、本当の恋をして、結婚詐欺師としてのキャリアを失ってしまう。それでもすみれは「本当の恋ができてよかったな」と思うんじゃないかなって…。“好き”って、強くもなれるけど、人を弱くするものでもあって。その切なさみたいなものを凝縮した1曲にしたいなと思いました。 ──そんな感情を乗せた「ワルツ」はミディアムバラードですが、ドラマサイドから曲調について何か要望がありましたか? 『ミス・ターゲット』は日曜の夜10時から放送される作品だから、観てくださった方が「明日からまた頑張ろう」と思えるものをというオーダーで、曲調や内容については何も言われませんでした。だから自分なりに咀嚼して、“ミディアムチューンだったらこういう感じかな”、“バラードだったら”、“アップテンポだったら”といろいろ準備していきました。その中から「ワルツ」が選ばれたという感じです。 実は、作詞・作曲を自分だけで手がけた曲がドラマの主題歌になるのって、初めてなんです。そういう意味では、新しい世界も見せてもらいました。 ■曲づくりは歌うことと同じくらい自分にとって大事 ──今回は他の方がつくった曲も含めてドラマサイドに提出されたそうですが、その中からご自身が作詞・作曲した曲が採用されたということは、自信にもなったのではないでしょうか? なりました! 改めて、曲を作ることを続けていこうと思いました。私は曲を作ることで自分を癒やすというか。曲づくりは自分にとってセラピーのような感覚なんです。普段生きていると感情が時差でわかることが多くて。 例えば大人数でご飯に行った後、家に帰ってきてから「あんなこと言わなきゃよかったな」とか「あの場では笑っていたけどちょっと傷ついていたんだな」とかを思う。そういうものを歌詞やメロディにすることによって浄化させていくことがあるんです。もちろん歌うことでも自分を癒やしていますけど、つくることも、歌うことと同じくらい自分にとっては大事だなと思いました。 ──実際、ご自身が作詞・作曲された「ワルツ」がドラマの主題歌としてオンエアされているところをご覧になっていかがですか? 自分の体験や自分の人生の中に訪れたものを曲にしましたけど、ドラマのワンシーンワンシーンに合うようにと誠心誠意紡いだものだったので、感慨深いものがありましたね。僭越ながら……「この曲、ドラマに合っているんじゃないかな」と思いました(笑)。 ──ドラマ自体はコメディ要素も多いですが、最後に「ワルツ」が流れることで、人間ドラマの部分もしっかり感じさせられる感覚になります。 そう。プロットを読んだときも、コメディ要素もありつつ、恋愛ドラマでもありつつヒューマンドラマでもあると感じて。だからこそドラマの持つ陽の雰囲気の反対側を主題歌が担うことで、ドラマに奥行きが生まれたらいいなという気持ちも込めました。クスッと笑いながらも、この曲と共にホロっとしてくれたら本望です。 ■「え、私の印象ってどんな感じなの?」って(笑) ──対するカップリング「愛をあげる」はロックチューン。初めて聴いたときはどのように感じましたか? この曲は、ツアー中で心身ともに疲弊しているときにすってぃ(須藤優)から「レオちゃんにぴったりの曲をつくったから聴いてほしい」と送られてきた曲。聴き終わった後、歌わせていただきたい!と心動かされて。リリースのタイミングをずっと待っていました。 「ワルツ」は人間のピュアな部分を出した曲だと思うんですね。でも人間だから、自分の心の中にはその反対側のものもあるはずで。それがこの「愛をあげる」だなと感じました。だからこの2曲を一緒に世に出せるのはすごくいいなと思いました。 ──「レオちゃんにぴったり」と言われてこの曲をもらったということですが、ご自身としてはどう感じましたか? 「え、私の印象ってどんな感じなの?」って(笑)。だって「洒落になんないくらい オーバーウェイトな愛をあげる」って(笑)。でも、すってぃは一緒にツアーを回った信頼しているベーシストでもありますし、私のことを知ってくださっているからこそ、家入レオをどう音楽にしたらリスナーの方が喜んでくれるかを客観的に見てくださっているんだなと改めて思いました。 ──そんな2曲が入ったシングル「ワルツ」はどんな作品になったと思いますか? 「ワルツ」は自分でつくった曲を磨く、「愛をあげる」は歌い手として歌い甲斐のある曲。そんな2曲がシングルに入った、自分らしい1枚に仕上がったなと思いました。 つくること、歌うこと。その両方があるというのは、自分の道としてこれからも大事にしていきたいなと思いました。 ──CDとしてシングルをリリースするのは久しぶりです。CDを出すということは家入さんにとってどのような楽しみがありますか? 今回は佐内正史さんという写真家の方にCDジャケットとミュージックビデオを撮影していただきました。デジタルで撮影したものもあるんですが、ジャケットは、フィルムで撮影してくださったものを選びました。フィルムの「もうちょっと明るかったらよかったのに」とかそういうことも含めて、手触りのある作品にしたいなと思ったから。CDを出すからには、そこにちゃんとぬくもりがあるものにしたいと思ってこだわったので、ぜひ手に取ってほしいです。 (取材・文=小林千絵)