『マイダイアリー』初回からエモーショナルな台詞が多数登場 佐野勇斗が新境地の役柄に
優希(清原果耶)の涙の理由とは?
本作の脚本を務める兵藤るりは、自身のnoteに「わたしは誰もがマイノリティであり、マジョリティであると思っています」と綴っていた。たしかに、そもそも誰ひとりとして同じ考えを持つ人間なんていないのに、“普通”の定義があること自体がおかしいのかもしれない。すべてが普通の人間なんて、きっとこの世界には存在しなくて。みんな、普通の部分を持ちながら、普通じゃない部分を抱えながら生きている。優希だって、まひるだって、愛莉だって、虎之介だって、マイノリティ側に立つことはきっとある。ただ、広海はその回数が多かっただけ。だからこそ、優希は「受け入れる」ではなく「一生懸命生きてきたんだなって感じただけ」という表現をしたのだろう。 第1話の序盤、おそらく社会人1年目のシーンで、優希と広海はキスをしていた。きっと、2人は2年の間に交際することになるのだろう。しかし、優希は広海からポップコーンのゴミを受け取り、涙ながらにそれを捨てていた。まるで、すべての思い出も一緒に捨て去ろうとしているように見えたのは、気のせいだろうか。 ずっと、“優しい自分でいなきゃ”と追い詰められていた優希が、広海の前では「わたしは、優しくないよ。映画館のポップコーン、自分の好きな量、好きなペースで食べたいのにって思ってたから。我慢してあげてるって、心のどこかで多分、思ってたから……」と“優しくない自分”を見せることができる。これって、すごく素敵な出会いだと思う。それなのに、なぜ別れることになってしまったのか。 兵藤のnoteには、「まだ20代前半の優希がなぜ『人生の日記』という言葉を使うのか」とも綴られていた。もしかして、優希は何かの病気を抱えていたり……なんてこともあるのだろうか。最初に“別れ”を見せてから回想していくパターンのラブストーリーは、なかなかないからこそ、想像を膨らませるのも楽しい。 青春というものは、渦中にいるときはなかなか「これが青春だ!」と気づくのがむずかしい。だからこそ、わたしたちは“あの頃”を振り返って、「あれって、青春だったよね」と言い合ったり、「一瞬でもいいから戻りたいなぁ」と思ってみたりする。でも、そんな会話を繰り広げることができる仲間がそばにいることこそが、何よりもの財産なのかもしれない。『マイダイアリー』第1話を観て、そんなことを考えさせられた。
菜本かな