原油相場に上昇観測、イランとイスラエルの対立激化でリスク見直し
(ブルームバーグ): イランとイスラエルの対立激化により、原油トレーダーは地政学的リスクプレミアムの再評価を迫られることになりそうだ。北海ブレント原油先物はすでに需給要因などを背景に1バレル=90ドル超の水準に上昇している。
イランがイスラエルに対する直接攻撃に踏み切ったことで、両国間の対立は一段と先鋭化した。イラン側は今回の報復攻撃に対するイスラエルからの強い反応がない限り、一段の攻撃を実行することはないだろうと説明している。しかし、イスラエルは反撃の権利を留保している。
UBSグループのアナリスト、ジョバンニ・スタウノボ氏は「イランが自国領土からイスラエルを攻撃したのは今回が初めてであり、原油相場は取引開始と同時に急伸するかもしれない」と指摘。「上昇がどの程度続くかはイスラエルの対応にもよるだろう」と述べた。
取引はニューヨーク時間14日午後6時(日本時間15日午前7時)に再開する。イランがイスラエルを直接攻撃するリスクは、少なくとも部分的にはすでに織り込み済みだった。
しかし、イランによる強力な報復攻撃を受けて、トレーダーは世界の原油輸送の要衝であるホルムズ海峡への注目を一段と強めるとみられる。タンカーへの攻撃が発生すれば、原油のリスクプレミアムは急上昇する可能性がある。
イランがイスラエル関連のコンテナ船を拿捕-ホルムズ海峡近く
政治リスク専門コンサルティング会社ユーラシア・グループの中東・北アフリカ担当責任者、アイハム・カメル氏は「紛争拡大の脅威と誤算のスパイラルをエネルギー市場はより真剣に織り込み始めるだろう」と語った。
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原題:Oil Traders Weigh Risks of Iran-Israel Conflict in Tight Market(抜粋)
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Anthony Di Paola, Salma El Wardany, Ben Bartenstein