あの時思い、心寄せて 能登半島地震、発生から半年
現地の石井さんは「時々余震があって、緊急地震速報が鳴ると、あの時を思い出してしまう。復旧は進んでも心はまだ地震の前には戻っていない」と話す。サクランボは入所者や利用者らと味わった。「いまだに山形から心を寄せてくれていることが、何よりもありがたい」と語った。 変わるニーズ、今後は生活再建へ・本県社協 被災地ではボランティアが復旧に向けた大きな力となる。被災者のニーズを把握し、こうした支援とマッチングするため、山形県社会福祉協議会は石川県志賀町の災害ボランティアセンターに職員を派遣している。「被災した人たちが求める支援は日々変わってきている。これからは生活再建に向けたサポートが必要になる」と、山形県社協職員の山口大希さん(33)は指摘する。 山口さんの活動は本紙取材班が2月に取材した。山口さんは5月にも現地に入った。能登半島は本県の庄内地域同様、瓦屋根の多い地域。落ちた瓦の撤去は進んでいるが、壊れた家の解体は進んでいないという。仮設住宅に移るなどして、避難所生活の人は少なくなったが「元の家に住むか、他に移り住むか、決めかねている人は多い」と説明する。
当初は家の外の瓦や崩れたブロック塀、建材などの撤去の要請が多かったが、ニーズは変わってきている。志賀町は住宅の門や庭に灯籠が多い地域。そのほとんどが倒れた。「灯籠を建て直したり、撤去してほしいという求めが出てきた」と山口さん。倒れたままだと、当時のことを思い出すからだという。 山形県社協は7月から、より被害の大きかった珠洲市に活動拠点を移す。山口さんは「職員も被災した現地の社協のサポートと、日常生活の再建に向けた活動をする。何より、被災者の心のケアが重要になりそうだ」と今後を見据えた。