「NHKは重要な布石を打った」受信料支払いが“国民の義務”となる可能性も? 放送法改正に見える“思惑”を弁護士が解説
受信料が「国民の義務」となる未来も……?
――では将来的に、パソコン、スマートフォン等のインターネットと接続できる機器を持っているだけで受信料を支払う義務が生じてくる可能性はあるのでしょうか。 江﨑弁護士:今回の改正の法文上、インターネットと接続できる機器を持つだけで受信料を支払う義務が生じる建て付けにはなっていません。ただ、将来的にさらなる法改正がなされる可能性はあると思います。 その場合には、テレビを持たないことで受信しない選択肢も無くなり、受信料は国民の義務となります。それは法令が国民から一律的に徴収することを義務付けるということなので、税金と本質的には変わらなくなることを意味します。それを国民が実質的な議論の上で受け入れるかどうかにかかってくると思います。 冒頭申し上げたように、今回の改正は極めて重要な意味を持つにもかかわらず、サブマリン的にいきなり法案が提出され、実質的な議論もなされず成立しました。今後の受信料制度のあり方については、TV放送の黎明(れいめい)期から始まったこの制度の現代的な意義や、NHKという組織の存続自体が目的化していないか等も含めて、しっかりと議論がなされるべきだと思います。
榎園哲哉