「前田悠伍(ソフトバンク1位)には負けない!」東松快征(オリックス3位)がこの1年で紡いできた「熱すぎる言葉」「一流への準備」<年末特別企画・ドラフト指名5投手の成長物語①>
パ・リーグ3連覇を達成し、強力若手投手陣を誇るオリックスに、将来性豊かなサウスポーが加わった。ドラフト3位で指名された東松 快征投手(享栄)である。 【動画】享栄・東松快征に密着!見ごたえ満点の迫力ブルペン投球! 今年のドラフトでは50名の高校生が指名された。その中でも東松はトップクラス能力の持ち主だ。最速152キロの速球は、同世代高校生左腕では最速。さらにチェンジアップ、フォーク、カーブ、カットボールを操り、器用な一面も持ち合わせている。 これまで多くのNPB入りした選手を取材してきたが、東松は確実に一軍で活躍できる能力と意識の高さを持った投手だ。高校ラストイヤーでの彼の成長する姿と発した言葉の数々は、将来のオリックスのエースとしてマウンドに立つ姿を夢想させてくれた。
「前田のことは尊敬している」
昨年冬。当時のドラフト戦線で東松と共に評価が高かったのは、同じ左腕の前田 悠伍投手(大阪桐蔭-ソフトバン1位)だった。私の前で東松は前田へのライバル心をいっさい隠そうとしなかった。 「この世代は良い投手が本当に多いと思います。その中でも1番を目指してやっています。『誰にも負けない』ということを意識して、最終的に大阪桐蔭の前田投手と甲子園で投げ合って勝ちたいです」 きっぱりと言い切った東松。目標実現のためにまず、フォームのモデルチェンジを行った。入学から2年夏まで高々と上げていたが、足の上げ幅を抑えるようにした。 「これまでは力強く投げることを目指していましたが、それだと打たれやすいと言いますか、変化球と真っ直ぐでフォームが変わってしまい、球種がわかりやすくなっていたので、フォームをゆったりにして変化球と真っ直ぐのフォームの差をわかりにくくしました」 続いてパワーアップのために、食事量を増やし、2年夏の体重83キロから8キロ増量の91キロへ。練習には体幹や柔軟性を高めるために水泳を取り入れた。ストイックにレベルアップを目指す姿が見られた。 4月。東松は高校日本代表候補入りし、強化合宿に参加した。ライバル・前田もメンバーに選ばれていた。 「自分が思っていたより柔らかくて話しやすいなと思いました。自分にはなくて、前田にあるもの。前田になくて、自分にあるものを共有し合いました」 東松が前田より上回るものはスピード、体に秘めるパワー。前田が東松より上回るものといえば、マウンド捌き、制球力の高さだ。 「前田はマウンドでの冷静さや試合作りやコントロールなど、投げること以外でも冷静にいられる。学ぶところがたくさんあります。尊敬もしています。」 東松はこの合宿の紅白戦で登板。3回1失点、参加した左腕では最速で、全体では2位タイとなる145キロを計測し、スカウト陣へアピールに成功する。 「自分の真っ直ぐは自信あって、アピールできましたし、良かったと思っています」