<速報>長谷川が世界ランカー相手の再起戦に大差判定勝利
終盤になってポイントで不利だと自覚したガルシアは強引に前へ出てきた。だが、長谷川は下がらずダッキングでかわしながら、攻撃の手を緩めない。7回には左のストレートを浴びてガルシアが目をカットした。 8回、長谷川は危ない左フックをもらった。セコンドからは「打ち合うな!」の声がとんだが、長谷川は果敢に打ち合う。逆に左フックにおされて、ガルシアが下がるシーンも。長谷川の気持ちだろう。 9回も左が何発もガルシアの顔面を襲う。長谷川のスタミナは落ちない。 最終回、ガルシアも前に出てきたが、長谷川も負けていなかった。最後まで倒しにいった。会場から長谷川コールが巻き起こる。最後の1秒まで攻め続けた、それは見事な復活の姿だった。 試合後、長谷川はリングで「まさか勝てるとは思っていなかった。なんか変な感じです。一度も勝てるイメージがなかったので、むっちゃ怖かったです。満身な状態でできなかったことだけが心残り。勝利をつかんだことをうれしく思っている」と、笑顔がないままインタビューに答えた。 昨年の4月に3階級制覇を狙ってキコ・マルチネスの持つIBF世界スーパーバンタム級王座に挑戦したが、7回、TKOで敗れた。真っ向打ち合いに応じたが、往年のキレは長谷川に残っていなかった。減量も苦しく、限界は明らかだった。だが、長い熟考の時間をへて長谷川は再起という決断を下した。反対意見は多かった。筆者も反対だった。だが、「本当にやりきれたのか」という自問自答の中で、長谷川はリングに戻ることを決意した。不完全燃焼。たくさんの悔いが残っている、長谷川の最後の挑戦だった。 だが、直前の4月に右足首を捻挫するなど、34歳の肉体は、試合前から悲鳴をあげていた。気持ちだけで長谷川は戦った。再起が決まってから、長谷川と電話で話をしたが、「自分に納得したい」ということを強調していた。これで世界ランキング復帰することも確実で、世界再挑戦への視界も開けてきたが、「ボクシングでいえば、高齢者組。ぎりぎりでやっているので、僕のペースでボクシング人生を歩めたら。(今後のことは)ちょっと考えて、しばらくこの恐怖感から脱出したい」と語った。