中日ドラ1入団も…レベル差に愕然「俺じゃ無理」 エースがブチギレ「帰れ」、痛感した現実
1軍選手相手の打撃投手で掴んだ技…1年目に9登板で2勝をマーク
冷静に周囲を観察した。「他にも速い球を投げる人はいっぱいいましたからね。なんで、この人はこんな球を投げているのに1軍で活躍できていないんだろうとか、そういう目でキョロキョロしていましたねぇ」。開幕してからは1軍の手伝いで打撃投手をよく務めた。「1年目は2軍の遠征に連れていってもらえなかった。その時はいつも1軍のナゴヤ球場での練習で投げていました。だいたい谷沢(健一)さんと木俣さんと(高木)守道さんと外国人選手を相手にね」。 そこでも悔しいことがあった。「2箇所でバッティングするんですけど、木俣さんが『お前はどっちで投げるんだ』って聞いてくるんです。『こっちです』と言ったら僕が投げている方で打ちに来るんですよ。ショックでしたね。そんなに俺の球って打ちやすいのかって思ってね」。だが、そういうことも含めて無駄にはしなかった。打撃投手をやっているなかで、自身についても“研究”していったという。 「気持ちよく打ってもらおうとリラックスして投げたらバッターにちょっと変化しているとか言われたりしたんですよ。しかも何か打ちにくそうで……。逆にクッと力を入れて投げたら10球中、7本くらいスタンドに持っていかれた。この差は何だろうって違いを探すようになったんです」。これが牛島氏には大きなプラスになった。 「楽に投げている時はリラックスしている分、左肩が開かないようで出所が見づらい。逆に力が入ると左肩が開いて出所が見えるようで、そうなるとカンカンスタンドに放り込まれていたんです」。プロ1年目の牛島氏は8月下旬に1軍に昇格して9登板、2勝1敗の成績を残したが「バッティングピッチャーをやったことがすごく役立ったというか、勉強になりましたね」と話す。それが頭脳派投球術の序章。「俺じゃ無理」の世界で生き抜くために自力で立て直していった。
山口真司 / Shinji Yamaguchi