Hey! Say! JUMP「DEAR MY LOVER」バイラル1位 サブスク解禁で広まる音楽的魅力
Viral Chart Focus Spotifyの「Daily Viral Songs(Japan)」は、最もストリーミング再生された曲をランク付けした「Spotify Top Songs」とは異なり、純粋にファンが聴いて共感共有した音楽のデータを示す指標を元に作られたランキング。同チャートの11月8日付のTOP10は以下の通り(※1)。 【画像】Hey! Say! JUMP「DEAR MY LOVER」 1位:Hey! Say! JUMP「DEAR MY LOVER」 2位:RKID'z「向日葵」 3位:HEARTSTEEL,League of Legends,BAEKHYUN,tobi lou,ØZI,Cal Scruby「PARANOIA」 4位:KID PHENOMENON「存在証明」 5位:K.E.I「Vacation」 6位:Frizk「ALL MY FELLAS」 7位:Sugar Goose「Yozora」 8位:Memphis Cult, Groove Dealers, SPLYXER「9mm」 9位:冨岡愛「グッバイバイ」 10位:tuki.「晩餐歌」 今回はHey! Say! JUMP「DEAR MY LOVER」をピックアップする。 本曲の初音源化は2023年5月31日に発売されたCD盤『DEAR MY LOVER/ウラオモテ』である。メンバーの山田涼介が出演した2023年4月クールのドラマ『王様に捧ぐ薬指』(TBS系)の主題歌に起用された。そして、10月24日にデジタルリリースされた、彼らにとって初のデジタルEP『P.U!』にも収録されている。今作は、Hey! Say! JUMPにとって、実質上の音楽配信サブスクリプションサービスの解禁といっていいだろう。
「DEAR MY LOVER」はHey! Say! JUMPの良さがよく伝わる一曲
「DEAR MY LOVER」は、11月6日付のデイリーバイラルチャートで初登場1位にランクイン。以降11月11日付の同チャートまで首位をキープし続け、圧倒的な強さをみせている。また、4曲収録のデジタルEP『P.U!』の中から、全楽曲が同チャートに同時ランクイン。「DEAR MY LOVER」以外の収録曲は、初登場となった11月6日付のデイリーバイラルチャートでは、「Ready to Jump」(7位)、「だいすきなきみへ」(18位)、「それぞれ。」(20位)と、4曲を20位以内に送り込んでいる。これは、Hey! Say! JUMPというグループの存在が、多くの人に浸透しているからこそだろう。加えて、入れ代わりの激しいバイラルチャートで、約1週間にわたり「DEAR MY LOVER」が首位をキープしているチャートアクションは、音楽配信サブスクリプションサービスの解禁で、彼らのコアなファン以外も同曲をシェアしているのではないかと考察する。 EP『P.U!』から唯一の既発曲「DEAR MY LOVER」が1位を独走しているのも興味深い。ドラマ主題歌ということもあり楽曲自体の認知度も影響しているはずだが“Hey! Say! JUMPの魅力を凝縮した楽曲”であることがその最大の理由だろう。讃美歌を彷彿させる鍵盤の和音、山田のクリアな歌声で幕を上げる「DEAR MY LOVER」は、冒頭から山田の丁寧なファルセットが聴けるところもじつにドラマチックだ。そこから煌めくようなポップメロディが展開し、爽快さ溢れる開放感が広がっていく、アップチューンのラブソングだ。ラブソングの中に、相手に寄り添い応援するメッセージ性が含まれているところも彼ららしい。 メンバーが1人で歌うパートももちろんあるが、ユニゾンが印象に残る。メンバー複数人でのユニゾンが随所に登場することに加え、サビはメンバー全員のユニゾンだ。現在のHey! Say! JUMPのメンバーは8人。ボーイズグループの中では比較的、人数が多い方に分類されるが、メンバー全員でのユニゾンは非常にまとまりがある。メンバーそれぞれの声質の違いははっきりわかるが、全員、柔らかいボーカリゼーションであること、さらにはリズムやトーンの扱いもぴったり同じで、Hey! Say! JUMP特有の優しい包容力あるユニゾンになっている。 今回のチャートアクションでもうひとつ特筆すべきは、デジタルEP『P.U!』収録曲の中で「DEAR MY LOVER」に続く人気曲「Ready to Jump」が、EDMやヒップホップのテイストを取り入れた斬新なアップチューンであること。先日、ビートボックス世界大会『GBB 2023』クルー部門で優勝したSARUKANIのキーパーソンであるヒューマンビートボクサーのSO-SOとコラボレーションしたこの曲は、Hey! Say! JUMPのチャレンジが感じられる1曲だが、この曲でも見事に息の合ったユニゾンを披露している。『P.U!』の中で、両極の2曲が強さを見せたこのチャート結果は、Hey! Say! JUMPというグループの引き出しの多さ、そしてこのグループの未来への証である。 ※1:https://charts.spotify.com/charts/view/viral-jp-daily/2023-11-08
伊藤亜希