阪神・井上広大、強風吹き荒れたハマスタで打線に新風 2戦連続タイムリー含むプロ2度目マルチ
(セ・リーグ、DeNA11-9阪神、7回戦、3勝3敗1分、11日、横浜)悪夢のような逆転負けの中、輝いた希望の光。抜群の適応力を見せた阪神・井上広大外野手(22)が、2日連続で存在感を放った。 「真っすぐあっての投手だと思うので、それを打てたというのはよかったかなと思います」 三回無死一、三塁の好機で迎えた第2打席。中川颯の初球を捉えた。二遊間を破った一打は、昇格即スタメン起用された10日から2試合連続の適時打。逆方向を意識した技ありの打撃には、思考を凝らした跡があった。 「梅野さんは逆方向、大山さんは若干詰まっての引っ張りだった。そう簡単にいい当たりで引っ張ることは難しいだろうと頭に入れた中で、中堅から右中間方向を意識しての打撃をしたいなと思っていました」 アンダースロー右腕の前に二回の第1打席は空振り三振。先輩の姿からすぐさま修正点を見いだし、結果につなげた。第3打席はフルカウントから左腕・坂本の直球を中前にはじき返して、3安打を放った昨年4月27日の巨人戦(甲子園)以来となるプロ2度目のマルチ安打をマークした。 ライバルの思いも胸に1軍へとやってきた。快音を響かせるオレンジ色のバットは、ミエセスのもの。鳴尾浜でたまたま手に取った助っ人の〝相棒〟は手になじみ、1軍でも継続して使うと決めた。ミエセスも2軍戦で井上のバットを使い、1軍昇格を目指して懸命に汗を流している。 競い合いながらここまできた。それは1軍でも変わらない。井上は前夜、ノイジーに代わって左翼へ。この日は森下に代わって右翼の先発を任された。前川を含めた両翼のポジション争い。この競争関係が、虎に襲いかかる負の流れを止めてくれるはずだ。(原田遼太郎)