日ハム「エスコンフィールド」で、野球ファンではない筆者が「野球観戦」したくなったワケ
2023年に札幌市の隣・北広島市に誕生し、35000人の収容人数を誇る「エスコンフィールド」。球場の中には、フードコートやホテル、温泉とサウナにショッピングモールなどが併設され、いわゆる「ボールパーク」として開発が進められた。まさに野球場を核としたテーマパークのようになっている。 【写真】斎藤佑樹「なぜプロで成功できなかったんでしょうか」…国分太一が返した答え 竣工以来、非常に評判が良い。その好調さは数字にも表れている。エスコンフィールドを含む「北海道ボールパークFビレッジ」の運営元である「ファイターズスポーツ&エンターテイメント」の2023年度の売り上げは251億円で、2019年の157億円から大幅に増加している。試合のない日でも平日4500人、休日は1万人近くの動員を集めているから驚きだ。 なぜこれほどまで人気なのか。現地でのフィールドワークから見えてきたのは、「野球ファン」と「野球がそこまで好きではない人」を同時に取り込むことができる空間作りだった。
野球を見たくなる球場
しかし、エスコンフィールドが優れているのはそれだけではない。 というのは、この場所は野球に興味が無い人も野球を見たくなる空間だと思ったからだ。 例えば、先ほども書いた「そらとしば」のテラスで野球を観戦する、なんてのは楽しそうだ。それに、「tower eleven onsen & sauna」は野球がそこまで好きではないサウナーがやってきて、野球観戦にはまる……なんてこともありそうだ。 こういう想定もしてみよう。例えば、三人家族のうち、夫は野球に興味があるが、妻はない。ただ、子どもが遊べるところはあるから、エスコンフィールドにはやってくる。そんなとき、子どもが野球を身近に感じて、将来的にエスコンフィールドに来るかもしれない。 「野球場」だけでは来なかっただろう人々がやってきて、野球に興味を持つかもしれないのだ。特に今も書いたように、場内の至るところに遊び場があることで、未来の野球ファンを作ることができる設計は巧みだと思う。 野球観戦をしながら何かをするのではなく、何かをしながら野球観戦ができる。自然と観戦が身近になっていく気がした。 実際、こんな記事を書いている私も、これまで野球についてあまり興味がなかった。 しかし、エスコンフィールドへの取材を通して、「この空間で野球見てみたいかも……」と思った。そこで、来季は実際に試合を見るために、ここを訪れようと計画しているほどである。