津波タワー整備に遅れ 国の補助金8割どまり、釧根6市町充当求める
千島海溝沿いの巨大地震に伴う大津波災害に備えるため、今年度中に高所タワーなどを整備する予定の北海道の東に位置する釧路、根室管内の6市町(根室市、釧路市、釧路町、白糠町、厚岸町、浜中町)で、国からの補助金が要望の8割にとどまり、事業規模5億円以上の自治体では計画の見直しを余儀なくされている。釧路町は今年度中の完成を目指していた4基の津波避難タワーのうち1基の延期を決めた。ほかの自治体も付随工事を延期するなど少なからず影響が出ており、国に追加の充当を求めている。 6市町とも、国が昨年度に指定した太平洋沿岸の「津波避難対策特別強化地域」で、ハード整備費の3分の2が補助される国土交通省の「都市防災総合推進事業」を活用し、タワーなどの施設や避難道路の整備を計画しているが、交付額はいずれも要望の8割にとどまった。指定地域の補助率が従来の2分の1から3分の2に引き上げられたことで、補助を申請する自治体が増え、財源が不足したことが要因だという。 千島海溝沖地震で道内で最も高い最大26・5㍍の津波が想定されている釧路町は昨年度、近くに高台や高い建物がない市街地セチリ太地区に4基の津波避難タワーの整備を進めることとし、すでに2基を着工。今年度約27億円をかけて残り2基を着工し、すべて完成させる予定だったが、充当額まで3億円余り足りず、緑公園に整備する1基(収容人数300人)の完成を来年度以降に延期した。ほか3基は今年度内に完成する見込み。町防災安全課の藤井正樹課長は「多少工期が遅れてでも4基のタワーは必ず完成させる」と話している。 白糠町は9億4000万円余りが補助され、今年度中に町役場庶路支所(同127人)と旧白糠保育園に(同210人)各1基タワーを整備する。町地域防災課は「避難行動に影響しない外構工事などが遅れる可能性はあるが、計画通り今年度中に避難可能な状態まで整備を進める」と話す。 釧路町と同じく、高台のない場所に防災交流センターを新築する予定の厚岸町は7億円余りが補助されたが、2億円弱の予算不足に陥っており、来夏の完成時期にも暗雲が立ち込めている。町危機対策室は「国には予算措置をしてほしい」と話している。 [写真/㊤津波避難タワー建設現場の緑公園(釧路町北見団地7)。建設を見込み重機で撤去した立ち木がまとめられたままだ㊦緑公園の津波避難タワー完成図(釧路町提供)]
釧路新聞