〈資料写真〉長島町の路線バス発着点となっている平尾車庫前バス停＝長島町平尾

　鹿児島県長島町内を走る南国交通の路線バスが９月末で廃止されることを受け、同町は１０月１日から公用車での代替バス運行を始める。２３日に開く町議会臨時会に、２０２４年度分の事業費１１０３万円を含む一般会計補正予算案を提案。当面は無償とする方針で、町企画財政課は「持続させるためには有償運行が必要。条件が整い次第、切り替える」としている。 【写真】〈関連〉長島町を走るバスの路線を地図で確認する

　同課によると、ルートと停留所は南国交通の路線を踏襲し、平尾車庫～黒之瀬戸大橋そばの道の駅「だんだん市場」を東回り（鷹巣経由）と西回り（指江経由）で結ぶ。いずれも平日と土曜日に１日２、３本ずつで日曜日は休み。車両は、町が所有する４５人乗りと２９人乗りのバス２台に降車ボタンを設けて使用する。 　運行はＮＰＯ法人ながしま地域活性化推進機構（同町浦底）に委託する。同ＮＰＯによると、運転手８人は５０、６０歳代で、うち４人を新たに雇用した。全員が大型免許を取得しているが、旅客運送に必要な２種免許は持っていないため、今後、交通空白地有償運送の講習を受ける。 　同ＮＰＯの川添英一代表理事（７５）は「交通手段がなくなれば住民が困る。役に立てるならと、手を挙げた。安心して乗ってもらえるよう努める」と話した。町は事業費に人件費や講習費、燃料費を盛り込む。９月中に住民説明会を開く。 　南国交通は、乗務員確保が困難なことや新型コロナウイルス禍による経営悪化などを理由に、同町と阿久根、出水を結ぶ路線バスを９月末に、町内巡回バスを来年３月末に廃止する。町内に高校はなく多くの生徒が阿久根や出水、薩摩川内市までバスの乗り継ぎやバイクで通学しており、影響が懸念されていた。