誘って口説いちゃダメですか?
サシ飲み誘っちゃダメですか?
しかし、そのときの対話でAが発した一言が、その後の私たちの関係に地殻変動をもたらしました。 「実は僕も、飲みに誘われたいんです。でも、誰も誘ってくれないんですよ」 私のパソコンの画面には、強面のAの照れ交じりの笑顔がいっぱいに広がっています。 一瞬のフリーズ、一瞬の逡巡、一瞬の躊躇を感じながら、私は言いました。 「今度、サシ飲みしましょう」 傍から見れば、なんてことのないやりとりかもしれません。ですが、その一言を言った後も、私の心臓は相当ドキドキしていました。 その2ヵ月後、サシ飲みを実現しました。楽しみ3割、緊張や不安7割の感覚でお店に向かったことをよく覚えています。 アルコールにも背中を押してもらい、お互いにいろいろなことを話しました。 ・どんなことに面白味を見い出す人なのか? ・何にカチンとくる人なのか? ・コーチ・エィで、何を実現したいのか? ・お互いをどう見ているのか? コミュニケーションに飛びこみ、対話する中でAに関する発見がたくさんありました。会議の席上でのAの発言などから私がAに貼っていた「Aさんは●●な人」というレッテルのいくつかがはがれると同時に、Aも、私に対して近寄りがたさを感じていたことを知りました。
コミュニケーションに飛びこんだ先に生成される世界
その後、私たちの間で普段交わされるコミュニケーションが変わりました。 初めてAから 「今、ちょっといいですか?」 と個別にチャットをもらいました。 初めて私から 「共有したいことがある」 とオフィスでAに話しかけて立ち話をしました。 本当にちょっとした行動変容ですが、Aとの間で、これまでと質感の異なるコミュニケーションが積み重なっていくことは、コーチ・エィの未来に向けて何かを生成するだろうと信じています。
「コミュニケーションに飛びこむ」とは?
コーチ・エィの創業者である伊藤守が昔から、コミュニケーションについてよくいう言葉があります。 「コミュニケーションの目的は、『誘う、口説く』」 誘ったり、口説いたりすれば、当然断られる可能性があります。かといって、躊躇して何もしなければ、そこには何も生まれません。 組織を開発するとは、まさにそこで起きている1対1のコミュニケーションや関係性を変化させることの積み重ねのプロセスを指します。 あなたにとって、本当はコミュニケーションに飛びこむべき相手は誰でしょうか。 もうすぐ春ですね。ちょっと気どらず、誘って口説いてみませんか。