電子処方箋、静岡県内導入伸び悩み 普及16.6% 経費補助で医療機関後押し
紙の処方箋を電子化し、医師と薬剤師がオンラインでやりとりする「電子処方箋」の静岡県内医療機関での普及が伸び悩んでいる。国は来年3月までに、ほぼ全ての医療機関への導入を目指しているが、普及率は8月時点で全国14・1%、県内16・6%にとどまる。県は導入費の補助やメリットの説明会を開くなどして普及促進を急ぐ。 電子処方箋はサーバーで患者の処方履歴を一元的に管理できるため、複数の医療機関からの重複投与や飲み合わせの悪い薬の処方を防ぐことが可能。患者が利用に同意すれば、医師が処方箋の内容をサーバーに登録でき、患者が薬局でマイナンバーカードか健康保険証を提示することで薬剤師から薬を受け取れる。 2023年1月から全国で運用が始まったが、費用負担が必要で、補助についての周知不足もあるため、普及が進んでいない。 県薬事課によると、一般の診療所での導入費は40万円前後とされる。電子処方箋の普及に向け、県は導入費の補助にかかる経費2億9500万円を一般会計9月補正予算に計上。公的病院は経費の2分の1、診療所や薬局は4分の1で導入できるよう助成する。 このほか、導入の利点を説明する研修を実施したり、導入を促すダイレクトメールを診療所や薬局など6040件に送付したりするという。 同課の担当者は「電子処方箋があれば、災害発生時などの緊急時にお薬手帳がなくても処方ができる」と強調し、医療機関に積極的な導入を呼びかけている。
静岡新聞社