札幌圏のライドシェア、広がり欠く 休止や車両数見直しも 始動から半年
一般ドライバーが自家用車で客を運ぶ「日本版ライドシェア」の運行が札幌交通圏(札幌市、江別市、北広島市、厚田・浜益地区を除く石狩市)で始まり、22日で半年が経過した。11月末までの運行回数は計2215回。タクシー不足を補う狙いで制度が始まったものの、営業時間に制約がある上、コロナ禍で減ったタクシー運転手が増えていることもあり、利用は伸び悩んでいる。運行を担うタクシー会社が、ライドシェアを休止したり車両の台数を減らしたりする動きも出始めている。 【動画】北海道新幹線札幌延伸工事で超大型クレーンが稼働中 室蘭のDENZAI保有 忘年会シーズンを迎え、終電の時間が過ぎるとタクシー乗り場に行列ができる札幌市中央区の繁華街ススキノ。予約が入るのを待つライドシェア運転手の男性(61)は「お客さんがこれだけいても乗せられないのは歯がゆい」とつぶやく。11月下旬から運転を始め、予約は土日の深夜で1日2、3本。ゼロの日もあったという。 日本版ライドシェアは、タクシー会社が時給で雇用するドライバーが一般のタクシーと同料金で運行する。客は配車アプリで依頼し、予約時点で発着地と運賃が事前に確定する仕組みで、走行しながら乗客を探す「流し営業」はできない。 札幌交通圏のライドシェアは6月22日に始まり、10月末の運行時間・台数の拡大を経て、現時点で札幌ハイヤー協会に加盟する30社60台が事業許可を受ける。タクシーの営業を妨げないよう、運行時間は現在、木―日曜の午後4~8時台(上限190台)と土日の午前0~4時台(同160台)に制限されている。 平岸ハイヤー(札幌)は7月から1台登録し、10月下旬には5台に増やした。しかし、利用は1日数回で、売り上げは会社が支払う給料を下回っている。同社幹部は「走れば走るほど赤字。このままなら続けられない」。利用が伸びない理由について、営業時間が短く、知名度も低いことに加え、札幌ハイヤー協会の鈴木康治専務理事は「乗客は乗り慣れている一般のタクシーに安心して乗りたいのではないか」とみる。