「ほぼ演技指導なし」最新作の監督が驚愕!俳優「草彅剛」の底知れぬ魅力…無精ひげ姿で、復讐に生きる男を熱演
---------- アウトローの世界を描いた作品を得意とし、2013年には殺人事件を題材にした映画『凶悪』で数々の賞を受賞して以来、映画監督としての地位を確立していった白石和彌監督。その後、『日本で一番悪い奴ら』『孤狼の血』『凪待ち』『ひとよ』など話題作を次々と世に送り出してきた。最新作『碁盤斬り』は、ずっと時代劇を手がけたかったという白石の思いが叶った初時代劇作品だ。いったいどんな作品なのか、語っていただいた(全4回の3回目)。 ---------- 【写真】主演・草彅剛が見せた「意外な姿」
「プライドが邪魔して生きづらい人」が主人公
今では日本映画界になくてはならない存在となった白石監督。しかし、映画づくりへの姿勢は変わることがないという。 「作品で賞をもらったり、1本成功すれば人生が激変したりもしますが、だからと言ってやっていることは今も変わりません。もちろん、予算が多くなったりスタッフの人数が増えたりということは当然あるし、昔のように企画書を持って行った時に『あなた、誰ですか? 』とはさすがに言われなくなりましたけど……」 最新作『碁盤斬り』は、ある冤罪事件によって娘と引き裂かれる柳田格之進(草彅剛)が武士としての誇りをかけ、囲碁を武器に死闘を繰り広げるリベンジ・エンタテイメント作品だ。 「古典落語の演目を、無類の囲碁好き・加藤正人さんの脚本で映像化しました。主人公の格之進は、プライドが邪魔して生きづらい人なんですよ。ちゃんと話し合えば解決できることなのに、今では考えられない行動をとったり。だけど、出てくる登場人物がみんなどこか凛としていて、人のことを考えているんです。そんな気持ちさえあれば、多少今とは物事の優先順位が違っても、ものすごく美しい映画になるんじゃないか……それを描きたいと思いました。 それに僕は今まで自分のことばかり考えてる奴らを描いてきたから、人のために自分の首を差し出そうとしたり、自分の身を売ったり、人のために人生を捧げるという生き方を美しいと感じた。そういう生き方って、元々日本人が持っていたんだろうなと思いながら撮っていました。 今の時代においても、やっぱり人に手を差し出すのは重要なこと。家族愛も友情も僕はそんなに描いてはこなかったけど、どこか今の生き方に通じるヒントがあるんじゃないかと思います」