第93回選抜高校野球 投打かみ合い天理快勝 七回、つないで4得点 /奈良
<センバツ2021> 第93回選抜高校野球大会第2日の20日、1回戦に登場した天理は宮崎商(宮崎)と対戦、7―1で快勝した。スタンドでは、駆け付けた応援団らが声を張り上げる代わりにスクールカラーの紫のメガホンをたたき、「おめでとう」「よかった」などと勝利をたたえた。2回戦は、第6日第3試合(24日午後2時20分開始予定)で健大高崎(群馬)と対戦する。【広瀬晃子】 天理は二回表、2死三塁から木下和輔選手(3年)の適時三塁打などで2点を先制。スタンドからは「おーっ」「入った」と、マスク越しの歓声が沸いた。木下選手は昨秋の公式戦でベンチ入りもかなわなかったが、その後成長し、レギュラー入り。今回も大会前の好調さを買われ、スタメンに抜てきされた。木下選手は「ここで1点入れば乗れる。絶対返してやろうという気持ちで打席に立った」と笑顔。父和智さん(49)は息子の活躍に「夢のよう」と涙ぐんだ。 その後は追加点が奪えず、スコアボードに「0」が並んだが七回表、先頭打者の瀬千皓選手(3年)の安打を皮切りに打線に火がつく。相手のエラーや四球などで2死満塁の好機を迎えると、政所蒼太捕手(同)、内山陽斗主将(同)が連続適時打を放ち、待望の追加点を獲得。宮崎商を突き放した。 内山主将は、右膝の故障で2度の手術を経験。春先まで練習から離脱し、出場も危ぶまれたが、本番直前で復帰を果たした。内山主将は膝に負担がかからない打ち方に変更したといい「成果が出た」とうれしそう。母奈美子さん(47)は、「本人は(けがで)ずっと悩んでいる様子だった」と話し、「つらかった時期を知っているだけに、喜びもひとしお。1本が出てよかった」と安堵(あんど)の表情を浮かべた。 八回表さらに1点を奪った天理は、裏で1点返されたもののその後の追撃を許さず、結果は6点差の快勝。エースの達孝太投手(3年)もランナーを背負ってからの勝負強さを印象付けた。保護者会の仲川裕一会長(56)は「校歌を聴けてほっとした。2回戦もみんなで力を合わせて戦ってほしい」と期待を込めた。 ◇浜風になびく旗 ○…スタンドの最後列では「天理高等学校応援団」と書かれた応援旗が浜風にたなびいた。「試合に出る選手も、応援する選手も気持ちは一つ」と約2時間、立ったまま持ち続けた山村侑大選手(2年)。捕手で足腰が強いことから任されたが、10キロ程度の旗は風を受けると体感では倍ほどに感じるという。得点の場面にも「うれしいが、心の中にとどめる」と姿勢を崩さない硬派ぶりを発揮。「次も精いっぱい応援したい」と意気込んだ。【南迫弘理】 ……………………………………………………………………………………………………… 天理 020000410=7 000000010=1 宮崎商