「それは違う」「嫌だ」そう言える人は素敵だと思う ジェーン・スー×桜林直子が雑談で交わした事
そこから徐々に、私はふてぶてしくなりました。 講演会でよく言うのが、「過ぎたら女は舌打ち」です。ムカついたときにムカついた顔をするのは大事ですよという話をしてます。 というのも、中年女性はえてしてみんなのサポートをしてくれる、ものわかりのよい妖精のような存在として扱われることが多い。不愉快なことをされたときには、それが不愉快だとちゃんと伝えたほうがいいと思っています。 結構大きい音の舌打ちをすると、みんなビビります。それで事態は変わっていく。家で舌打ちの練習してください。
もちろん、力によって常に相手を抑圧しようとするのは良くないし、まずは話し合いや譲り合いが大切。だけど雰囲気やムード、あとは勝手に見下してくる相手に対しては舌打ちで十分。 「私らしさを手に入れる方法」や「なりたい自分になる方法」をよく聞かれますが「嫌なときにはノーと言う」が第一歩です。ノーと言ったほうが、不思議なもので選択肢は広がります。選択肢が狭まるように思えて、実はひらける。若い頃に知っておきたかったことのひとつです。
■「できません」と言ったほうがいい ノーと言うことに罪悪感を持つ人が多いけど、際限なく踏み込んでくる相手にはちゃんと言っていいんです。 会社員時代は、無理なことでも「大丈夫です」と引き受けるのができる仕事人と思っていました。一理あります。 でも、それが健康を害するほどの過剰な負担になるなら、「できません」と言ったほうがいい。一旦は可能性を探ってみたほうがいいけれど、引き受けないことがあってもいいんです。
本当はざらっとする気持ちがあるのに、嫌われたくない、ことを荒立てたくない、向き合うのが面倒、そういう理由でそのままにしてると、薄皮一枚の違和感がミルクレープみたいにどんどん重くなって、ある時点でもう手がつけられないような巨大な不満になってしまう。 私は頻繁に「やだー」を口にしてます。やりたくない、行きたくない、会いたくないって。言い続けてると周りもあきめるようになるしね。はっきり言ったほうが後腐れもありません。
ジェーン・スー :作詞家、コラムニスト/桜林 直子 :作家