花粉症対策でスギ人工林を2割削減 政府目標に森林ジャーナリスト「今の人員ではまず無理」 伐採しても売れない・使えない問題も?
これに後藤氏は「地元で苗木を作っている人は1人でやっている。52、53歳の方で、倒れてしまったら後はいないという状況。品質を改良したりして、需要の高いものを作るのが大事にもなる。たしか東京都が大幅に広げると聞いているが、施設を作るお金と、苗木を作るプロを確保していくことが必要だ」と述べた。
なぜ伐採した木の買い手がいないのか。田中氏は建築需要の減少で木材が余り気味であること、輸入材のほうが使いやすいこと、新規の使い道がないことをあげる。「値段が安いというのは誤解で、ほとんど外材のほうが高いぐらいだ。それを差し置いても、工務店や建築業者からすると、国産材は使い勝手が悪い。量が少ない、アイテムが揃わないとか、外材の間に商社が入っていたら電話一本ですぐに届けてくれる。そういう部分でも、あまり国産材が望まれていない」。 後藤氏は「木を切って売れるのかという話は重要だ」といい、「2、3年前のウッドショックの時に“日本の木材を使えばいい”と言われたが、流通システムができていなかった。長期トレンドで見た場合、円安に向かうとすれば日本の木材の競争力は高くなってくるので、流通体制を作っておくことが大事だ。あとは木材を切って、いつでも使えるような形で貯蔵しておくこと。そして、どうしても使えない場合は燃やす、バイオマスという手も選択肢としてある」とした。 田中氏は、伐採は慎重に進めていくべきだと話す。「災害が起きないように、林業という産業も壊さないように、緩やかに移行していくのが理想的だ。10年でやってしまえという考え方は危ないと思う。また、おそらくスギを切っても解決する問題ではない。ある研究によると、花粉量が2割減れば患者も2割減る、ということはない。患者が減るには7~8割切る必要があるだろうと言われている」。 一方、後藤氏は「平時の花粉対策予算では話にならない」と指摘。「去年秋の補正予算で60億円ついたので、林業のほうで人をきちんと雇って、必要な機械を買っていくというオペレーションを広げるタイミングだ。ただ、補正予算は1年ぽっきりで、これがなくなった時の年5000万円程度の予算では話にならない。平時にもう少し多くとらないと駄目だということで、今度の議連で“再来年度要求のためにやろう”という話をするところだ」と述べた。 (『ABEMA Prime』より)