《スペシャルインタビュー》酒井法子 被災地を「歌で勇気づけたい!」 ”第二の故郷”石川への想い
「第二の故郷」を襲った能登半島地震 石川・金沢でラジオ番組のレギュラーを持ち、 毎年ディナーショーを開催
〈金沢が大変なことになっている〉 歌手で女優の酒井法子(53)に、知人からLINEが入ったのは今年1月1日の夕方だった。鎌倉で初日の出を見て、ボイストレーニングを受けた帰り道。神奈川県南部の海岸線沿いを走る江ノ島電鉄の車内だった。酒井が振り返る。 酒井法子 想いを綴った直筆のメッセージ色紙を…撮りおろし写真を公開! 「すぐには何のことか理解できませんでした。ネットニュースを検索すると、石川県で最大震度7の大きな地震が起きているという……。金沢は私にとって『第二の故郷』です。心配になって頭に浮かぶ何人かの方に安否を確認しました」 のりピーの愛称で親しまれ、アイドル時代から幅広い世代のファンに支持される酒井。福岡県出身の彼女が「第二の故郷」と話す通り、金沢とは浅からぬ縁がある。酒井がいまだに苦しい生活を強いられる能登半島の人々や、被災地への想いを語った(以下、コメントは酒井)。 「(加賀藩の藩祖・前田利家と妻の人生を描いた)’02年のNHK大河ドラマ『利家とまつ』に、豊臣秀吉の正室役として出演させていただいたのがご縁です。本格的にお世話になり始めたのは、6~7年前でしょうか。金沢で行われたあるイベントに参加し、運営会社の社長にとても気に入ってもらいました。 金沢は経営者や町内会の方々などのコミュニティーがしっかりし、外部の人へもオープンな土地柄です。私も運営会社の社長さんのおかげで、いろいろと魅力的な人たちを紹介してもらいました」 酒井も温かく迎え入れてくれる金沢に愛着を持ち、毎年ディナーショーを開催。’22年4月からは地元『北陸放送』でレギュラーのラジオ番組『酒井法子のマンモスradio』を担当し、構成や取材も自身で行っている。 「『ロイヤルボックス金澤』というクラブのママさんにも、可愛がってもらっています。ママさんの紹介で、金沢を中心に活躍した競走馬『オープンベルト』(通算9勝)の女性の馬主さんとも知り合いました。 『オープンベルト』は’21年4月に3番目の仔(こ)を産んだ直後に死んでしまい……。馬主さんから仔馬の境遇と愛情を注ぐ関係者の話を聞いて感動した私が名づけ親となったのが、『オープンベルト』の忘れ形見で地元デビューした『スターマンモス』です」 『スターマンモス』(牝3歳)は通算12戦1勝の成績で現在でも活躍している。 公私に深く関係し、酒井は多い時で月に2~3回金沢を訪れるという。冒頭で紹介した通り、能登半島地震に大きな衝撃を受けたのは当然だろう。 「地震発生後に、たまたま私のラジオ番組に出演していただいた老舗(しにせ)酒蔵のご主人のインスタグラムを見たんです。そこには、こう書かれていました。〈どうぞ自粛をしないでください。被災しなかった元気な人は。経済を止めてしまっても何もならないんです〉と。その通りだなと思いました。 確かに大きな地震に襲われたのは悲しい出来事ですが、自粛しているだけでは立ち直ることはできない。私に何ができるのか、自分なりに『第二の故郷』のお役に立とうと考えました」 頭に浮かんだのが、’21年8~9月に上演された舞台『ラストダンスは私に』で酒井が演じた、昭和のシャンソン歌手で女優の越路吹雪(こしじふぶき)だった。 「宝塚歌劇団のトップスターでもあった越路さんは、戦時中から戦後にかけ全国各地を回り人々を慰問されたんです。戦争でボロボロになり、どん底にあった日本人を歌で励まし続けた。どれほどの人たちが救われたでしょう。 私は越路さんを演じたことにより、エンターテインメントの力をあらためて実感しました。苦しい時こそ、人は楽しさを求めるのかもしれません。私も、歌で被災地の方々を勇気づけたいんです」 1月17日に、酒井は’95年の阪神・淡路大震災で大きな被害を受けた兵庫県神戸市の大正筋商店街で行われた復興フリーライブにゲスト出演。同年に発表した代表曲『碧(あお)いうさぎ』を披露した。 「神戸では海苔(のり)の佃煮を使った『のりピーカレー』の炊き出しにも参加しました。歌を聴いていただいた皆さんの笑顔がステキ過ぎて……。地震が起きてからまだ能登半島には行けていませんが、石川で被災した方々を元気づけられる未来形を見せていただいたように思えました」 2月14日には、都内でバレンタイン&バースデーライブを開いた。会場でファンと募金活動を行い、自身が『子ども健全育成大使』を務める公益財団法人『B&G財団』を通じて支援金として活用する。近々、財団のスタッフとともに能登半島を訪れる予定だという。 しっかりパフォーマンスするために、身体の鍛錬も怠らない。 「10年ほど前から女性らしい筋力をつけたいと、筋トレやヨガ、ダンスなどを続けています。ある時、東京・銀座のデパートで、『ビキニフィットネス界の女王』と呼ばれる安井友梨さんを見かけたんです。彼女の『自分と未来は変えられる』という生き方を尊敬していたので、思わず声をかけてしまいました」 能登半島地震で被災した人々への想いを記してほしいとお願いすると、酒井は色紙にサインとともにこう綴(つづ)った。 〈心はいつもそばにいます〉 酒井は歌やダンスが「第二の故郷」を勇気づけてくれると信じ、エンターテインメントの素晴らしさを発信し続ける。 『FRIDAY』2024年4月5・12日合併号より
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