『民王R』7歳子役に脚光 思い出す「天才子役」伊藤沙莉のデビュー 9歳でみせた大人びた名演技【記者の目】
俳優の遠藤憲一(63)が主演するテレビ朝日系ドラマ「民王R」第3話で、遠藤が演じる内閣総理大臣・武藤泰山と入れ替わった子役の演技が注目を集めている。彼の演技をみて、ある朝ドラヒロインが9歳のデビュー作でみせた21年前の名演技を思い出した。 ◆大物感を漂わす7歳・吉本凪沙、遠藤憲一と2ショット【写真】 2005年に放送された池井戸潤・原作のドラマ「民王」をベースにしつつも、オリジナルストーリーをうたう今回の「民王R」。なんらかの原因で、他人と体が入れ替わる現象が連発する武藤が奮闘する話で、第3話では保育園に通う5歳の早瀬信太くんと入れ替わり、米大統領との会談でトラブルが続出した。 放送後、5歳児の体格でありながら、中身は総理大臣の武藤という難役を演じた小学2年生・吉本凪沙(7)の演技力が注目を集めた。遠藤演じる武藤に共通した、軸のある立ち方に、落ち着いた立ち振る舞いや話しぶりから威厳を漂わせていた。 これまで第1話では秘書役を演じるあの、第2話では闇バイトに手を出した青年役の曽田陵介も、それぞれ武藤と入れ替わるストーリーが描かれ、今回の吉本と同じく”武藤っぽい”演技をしてきた。だが、いずれも遠藤が演じる武藤よりも、動作が大げさすぎて体がフラフラしたり、大声を出すシーンも、一喝というより、肩を上下させわめき散らしているような印象が強かった。 そのため、前作「民王」で武藤と入れ替わった息子・翔を演じた菅田将暉の好演に比べると、どうしても見劣り感が否めなかった。それゆえ、無駄の動きがない吉本の演技は、より武藤らしさが際立った。ネット上では、吉本の演技力を絶賛する声が相次いでいる。 吉本の演技で思い起こされるのが、女優・伊藤沙莉(30)の21年前の名演技だ。演技未経験ながら、デビュー作であるドラマ「14カ月~妻が子どもに還っていく~」(高岡早紀・主演)で、少女に若返った大人の女性を9歳ながら好演。今も彼女の特徴であるハスキーボイスで、大人びた表情と落ち着いた口調でせりふを発し、ドラマの設定に真実味を持たせていた。 伊藤は、着実に子役から経験を積み重ね、今年前期のNHK連続テレビ小説「虎に翼」で主演。年末のNHK紅白歌合戦の司会に決定するなど、2024年の顔ともいえる。天才子役と称された伊藤のまばゆい活躍と成長をあらためて感じつつ、新星・吉本の今後の活躍も期待したいと思った。(高木梨恵)
中日スポーツ