一体なぜ? 東南アジアでバイクが大人気な理由
世界トップクラスのバイク普及率を誇る東南アジア
日本自動車工業会(JAMA)の調査によれば、2022年3月末時点における日本のバイク普及率は1台/12.0人。これはドイツ(同13.2人)とほぼ同じであり、中国(同19.0人)やアメリカ(同38.6人)よりも高い割合です。 【画像】東南アジアでバイクが大人気の移動手段となっている理由を画像で見る(10枚) 一方、普及率上位の国を見ると、台湾(同1.6人)を筆頭に、マレーシア(同2.3人)やインドネシア(同2.4人)、タイ(同2.3人)とアジア、特に東南アジアの国々が名前を連ねています。 これらの国々では非常に多くのバイクが普及しており、近年主流となっている125ccクラスのバイクの多くはこれらの国々がメインターゲット。バイクメーカーも、東南アジア市場に力を入れていることがうかがえます。 では、東南アジアの国々では、なぜこれほどまでにバイクが普及しているのでしょうか?
その最大の理由と言われているのが、これらの国々はいわゆる新興国であるため、経済的に余裕のある一部の人々以外は、クルマよりも安価なバイクを積極的に選ぶというもの。 これはまったくの的外れというわけではありません。たしかに、東南アジア諸国の国内総生産(GDP)は日欧米に比べておおむね低く、クルマよりもバイクのほうが基本的に安価であるのも事実です。 ただ、単に国民の所得レベルの違いが反映されているのならば、東南アジア諸国よりもGDPの低い国々ではさらにバイクが普及していることになります。 しかし、実際にはそのような傾向は見られません。したがって、所得レベルの違いだけで東南アジア諸国のバイク普及率の高さを説明することは困難です。
バイクが普及するのは「米」のおかげ?
東南アジアにおけるバイク普及率の高さは、意外にも「米」と関係があると言われています。日本を含むアジア圏では古くから主食となっている米ですが、世界中どこでも育つわけではありません。 米の原料となる稲が育つためには、温暖な気候と豊富な水が必要不可欠であり、稲作に適した地域は決して多くはありません。 その点、東南アジアは一年を通して温暖な気候である上に雨季があることや、チャオプラヤ川やメコン川に代表される大河もあるなど、水資源も豊富です。 主食となる米が育ちやすいということは、人口が増加しやすいということ。東南アジア諸国に人口が多いのには、東南アジアのこうした地理的特徴が外せません。