村元哉中・高橋大輔「かなだい」に続けるか? アイスダンス「あずしん」「うたまさ」が感じた世界との距離
【アメリカのカップルが圧勝】 11月9日、国立代々木第一体育館。GPシリーズ・NHK杯でリンクを舞うアイスダンサーたちはお互いが化学反応を起こしていた。 <新着・写真>うたまさ、あずしん…2024NHK杯フォトギャラリー フリーダンス、リトアニアのアリソン・リードとサウリウス・アンブルレヴィチウスが高得点を叩き出し、総合195.52得点で首位に立つ。続くアメリカのクリスティーナ・カレイラとアンソニー・ポノマレンコは、総合198.97点と逆転した。プログラム全体のスピードが心地よく、技術精度も高いため、短編のお芝居のような感覚があった。 ところが、同じくアメリカのマディソン・チョックとエバン・ベイツはそれを凌駕した。一つひとつのエレメンツをこなすというのではなく、ダンスを楽しんでいるため、心に響く。動きに無駄がなく、小さなミスもない。世界選手権連覇、GPファイナル優勝の絶対王者は、総合215.95点と圧勝だった。 世界のアイスダンスシーンは熱い。
【あずしんは逆境のなかの演技】 一方、村元哉中と高橋大輔の「かなだい」が日本でセンセーションを巻き起こしたあと、日本勢は世界でどの位置にいるのか? 「あずしん」と呼ばれる田中梓沙と西山真瑚のカップルは151.27点で10組中10位だった。しかし、結果以上の成果と言える。田中はケガで練習ができない状況から、大会を戦い通した。 「今回出場する決断をした梓沙ちゃんが、昨日今日のMVP。『ありがとう』っていっぱい言いたいです」 西山はそう振り返る。 「10月末の東日本(選手権)でフリー当日から(ろっ骨の)痛みがあったようで。NHK杯に出られるか、出なかったらどうか、出て悪化しないのか。そのなかで本当にいろいろあって、日本の病院で診察してもらってやってみる決断になりました」 当然、ぶっつけ本番だったが、苦難を乗り越えたことで、あずしんは力を身につけたはずだ。 「東日本が終わってから、フリーは滑っていなくて。今日(11月9日)の公式練習から滑り出したので、それで滑りきれたのはうれしいです。でも貴重な舞台で、コンディションを合わせられず......」 田中は悔しさに悶えたが、カップルらしく西山が引き取った。 「今度こそふたりで整えて、『やったよ』っていう演技ができればと思います!」