『ガンダム』フラウ・ボゥは結局アムロをどう思っていたの? そこに恋心はあったのか
アムロとフラウが結ばれなかったのは「アムロが子供だった」から?
その後、アムロが失踪した時にはフラウひとりで探しに行くなどして、アムロに寄り添い続けましたが、次第にアムロはパイロットとして頭角を現し、さらには「ニュータイプ」に覚醒したことで地球連邦軍には欠かせない戦力となり、アムロは、フラウが知っている「アムロ像」からかけ離れた存在になっていきます。 その証拠に、作中のフラウのセリフには、アムロに対する本音がにじみ出ています。第35話「ソロモン攻略戦」にて、負傷したハヤトとフラウが会話した場面では、フラウが「アムロは……違うわあの人は。私たちとは違うのよ」と話していたり、第37話「テキサスの攻防」で久しぶりにアムロとフラウがふたりきりで言葉を交わした際、「アムロって怖いくらいたくましくなったのね」「あたしなんかには届かなくなっちゃったのね」と思いを告げていたりしていました。 この時点でフラウは、アムロに対して以前のような好意がなくなって、手の届かない「スーパーヒーロー」のような存在として見るようになり、結果的に、身の丈に合ったハヤトを結婚相手として選んだのではないでしょうか。 そもそもアムロやフラウは15歳(物語開始当初)の子供であり、さらに戦争の渦中のただ中に生きていたわけで、普通に考えれば、どちらも恋にうつつを抜かす暇さえなかったのだと思います。 アムロは、フラウが嫌いだったのではなく、彼女のありがたみが分からない精神年齢だったために、彼女の優しさを疎ましく感じていたのではないでしょうか。 息つく暇もなく必死に戦い、求められるがまま戦果もあげ、大人として成長した時に、アムロは、ようやくフラウの存在の大きさに気づいたことでしょう。しかし、気づいた頃には、フラウの心は離れてしまい、すでに手遅れだったと考えれば、戦いに奔走したアムロが不憫でなりません。 物語において「たられば」を言っても仕方ないですが、もう少しアムロが早いうちに大人であれば、フラウと結ばれる運命があったのかもしれません。
LUIS FIELD