「いろんな考えを尊重し合って生きるしかない」般若が『寄生獣』から学んだ真理
逆に、人間らしさを持ち始めるパラサイトもいるじゃないですか。教師の田宮良子。田宮がいなかったら『寄生獣』はここまで面白くなかったと思うくらいの重要人物です。 田宮もパラサイトに寄生された側なんだけど、同じくパラサイトに寄生された人間との間にできた子を宿し、産むんです。だけどパラサイトだから愛情はなく、まるで実験とか飼育の感覚で育てるんですよ。赤ちゃんが泣いたら真顔で「黙れ」って言って黙らせるし(笑)。 でも田宮は最後、自分の子供を守って死ぬんです。パラサイトとして絶対にやらなさそうなことをやって死んでいく。人間とは何か、パラサイトとは何かを追究するようになっていた田宮は、気づいたらいちばん人間に近い存在になってたんですよ。
パラサイト側のボスは生身の人間だった!
パラサイトたちは自衛のために人間に紛れ、組織化していくんだけど、組織の頭がまさかの市長だったっていうのも驚きですよね。しかも、パラサイトを束ねる市長自身も当然パラサイトだと思っていたのに、まさかの人間だったっていう……。ここ、超重要なポイント。 この市長の広川剛志がとにかくヤバいやつで、人間なのにパラサイト側に立った思想の持ち主なんですね。 第55話「寄生獣」で、警官隊にやられる直前にいい残したのがこのセリフです。 広川 こと「殺し」に関しては地球上で人間の右に出るものはいない しかし きみたちがいま手にしている道具はもっと別の………… さらに重要な目的のために使わねばならん つまり……生物界のバランスを守るためにこそ きみたちの本来の仕事さ 「間引き」だよ 環境保護も動物愛護も すべては人間を目安とした歪なものばかりだ なぜそれを認めようとせん! 人間1種の繁栄よりも生物全体を考える!! そうしてこそ万物の霊長だ!! 正義のためとほざく人間(きさまら)!! これ以上の正義がどこにあるか!! 人間に寄生し生物全体のバランスを保つ役割を担う我々から比べれば 人間どもこそ地球を蝕む寄生虫!! いや……寄生獣か!