「どの店がお買い得か…」半径1キロ10店ひしめく激戦区へ 激安のオーケーが関西初進出
首都圏でディスカウントスーパーを展開するオーケー(横浜市)が26日、大阪府東大阪市に出店し関西に初進出した。関西スーパーマーケット(兵庫県伊丹市)の買収を巡りエイチ・ツー・オー(H2O)リテイリングに敗れた約3年前から、自力出店の計画を進めてきた。長引く物価高で消費者の節約志向はより生活に身近な食品などに集中し、最大の強みである「安さ」を生かしたいところだが、関西地盤の大手各社も対抗する構えを見せており、競争激化は必至だ。 【写真】関西初進出店のオープンを前に、長蛇の列ができるオーケー高井田店 午前8時40分ごろ、オーケーにとって悲願となる「オーケー高井田店」が東大阪市高井田で開業した。周辺は町工場が多く、マンション開発も盛んな地域。人口は増えているが、半径約1キロ圏内にスーパーやディスカウント店が他に10店舗もひしめく激戦区だ。 開店前から300人ほどの列ができ、予定より20分早くオープンした。売り場面積約2500平方メートルの店内は混雑で一部の商品棚が見えないほどのにぎわいぶり。オーケーの二宮涼太郎社長は「できるものは価格を下げ、(物価高を)追い風にしたい」と意気込んでみせた。 同社は、特売日を設けない代わりに品ぞろえを絞って価格を抑えるEDLP(Every Day Low Price)戦略が強み。関西進出にあたっては、競合店の価格帯を徹底的に調べ上げ、その特売価格を想定して値付けするなど首都圏での手法を踏襲したという。 来年1月には兵庫県西宮市で関西2号店を出す予定で、同県内では尼崎市や伊丹市などでも出店計画が進んでいるとみられる。 首都圏では156店舗を展開するが、二宮社長は「関西で規模感を出すには10店舗、20店舗では(足り)ない」と語り、大阪府と兵庫県に集中して出店しシェアを獲るドミナント戦略を推進すると強調。店舗が増えた段階で、効率化のため物流施設も関西で構えるとした。 ただ、価格や品質に厳しい関西の客を他店から奪うのは簡単ではなさそうだ。大阪市福島区から訪れた主婦(72)は普段5店舗以上のスーパーを利用するといい、「どの店が買い得か見て回る」と話す。東大阪市内に住む会社員の女性(50)は「仕事を休んで来た」と関心の高さを示しつつも「目当ての品はなく、今日は様子見」と冷静だ。 一方、競合他社も対抗策を打つ。約200メートルの至近にある「ライフ高井田店」はオーケー進出に備え、10月に約9年ぶりの大幅改装を実施した。関西スーパーの買収で争ったH2Oは来年3月までに価格訴求型スーパーの店舗開発を進める方針だ。
岩井コスモ証券の清水範一シニアアナリストは、オーケーが関西でも一定の存在感をみせるとする一方、「安さが強みの競合店は多く、関西の顧客に合わせた個性的な商品や売り場づくりが求められる」と指摘する。関西で今後、拠点を広げるには競合店との差別化が欠かせないと語った。(田村慶子)