日本製紙釧路工場跡地に製材工場 愛媛の大手検討、国内有数規模
北海道釧路市の日本製紙釧路工場の跡地(釧路市鳥取南2)に、国内有数規模の製材工場建設が検討されていることが21日までに分かった。大手ゼネコン大林組の子会社で、製材大手のサイプレス・スナダヤ(愛媛県西条市)が、道産材を原料とする集成材を年間50万立方㍍生産する工場を計画している。だが原木の調達など課題もあることから、同社では実現の可能性を調査しており、最終的には大林組が判断する。 国内では脱炭素、循環型社会の観点から木材が注目され、技術の進展により木造の高層ビル建設が可能になるなど、木材の需要が高まっている。そのため大手ゼネコンがサプライチェーン強化で製材会社をグループ化する動きが出ており、大林組も昨年2月にサイプレス社を連結子会社化した。 関係者によると、計画されている製材工場は、全道からトドマツを中心とする道産材を集めて集成材に加工し、釧路港から道外に移出する。面積は約20万平方㍍で投資額は200億円ほど。雇用は百数十人規模となる見込み。早ければ2027年の稼働を目指す考え。 ただ、道内は森林資源が豊富とはいえ、担い手確保や物流の問題もあり、十分な量の原木を調達できるのかという指摘もある。そのため同社では、今月中に札幌で木材業界の関係者に協力を求める。 日本製紙釧路工場は2021年9月に紙パルプ生産を停止したが、約90万平方㍍の広大な跡地利用が課題となっている。同工場の跡地では、ジョイフルエーケーのホームセンターを核とした複合商業施設(約10万平方㍍)が25年7月にオープンする予定で、ほかに陸上養殖の実証試験で利用されている。
釧路新聞