無視や皮肉で人を操る、同僚の「受動攻撃」を今すぐ封じ込める3つの対処法
「受動攻撃」とは、反対意見などを率直に伝える代わりに、ため息や無視、皮肉などで感情を表現する行動を指す。された側はその意図がはっきりわからず、反論や批判がしにくいのが特徴だ。例えば、次のような言い回しが受動攻撃の典型例に当たる。 ・都合の良い時間を話し合えば良い状況で、「では、お会いするのはそちらが(私たちに聞かずに1人で)決めた時間で結構です」 ・良くないと伝えれば良い状況で、「わかりました。あなたはそれがベストと考えるんですね。それならあなたのやり方で結構です」 ・褒めている風で皮肉を込めている。「プレゼン、うまくいきましたね。あなたの(低い)基準から判断すると」 相手に対する敵意や怒りを間接的に表現する受動攻撃は、率直に話し合えば解決できる問題を複雑にする。しかし受動攻撃には、効果的な「取り扱いマニュアル」がある。ここでは同僚の受動攻撃を建設的に止められる、3つの対処法を紹介しよう。 ■1. 冷静に対処する 何かひどいことを言われたわけでもないのに、その同僚と接した後は心がざわついたり、嫌な気持ちになったり、また、悲しくなったりする場合は、その同僚に受動攻撃をされている可能性がある。典型的な受動攻撃例は、無視、皮肉、冗談に見せかけた侮辱などだ。 ・「すばらしい!平均点が取れましたね」 ・会議中に自分の質問だけ無視する ・頼んだ急ぎの案件をいつまでも仕上げずに、「そのうちやります」 ・事情で仕事を休まなければならなかった後に、「今日、ついに出勤する気になったんですね!」 このような発言・行動をされた時は、怒ったり嫌味を言い返したりするのではなく、冷静に対処しよう。過剰に反応すると相手の態度がエスカレートし、決定的な対立や陰湿な嫌がらせに至ることもある。
対峙するには、きっぱりとした姿勢が大切だ
2019年3月に科学論文サイト『Frontiers in Psychology(フロンティアーズ・イン・サイコロジー)』で発表された論文によると、上司の優れたコミュニケーション能力は部下の「関係満足度」を大幅にアップさせるという。優れたコミュニケーションの鍵となるのは、相手の感情を受け止め、しっかりと話を聞く能力だ。 もし会議中にあなたのプロジェクトについて同僚に皮肉を言われた時は、この研究結果を思い出し、深呼吸をして冷静にこう答えよう。「ご意見、ありがとうございます。ぜひ具体的に教えてください」相手に説明させることで自らの発言を振り返らせ、うまくいけば、大人気ない態度に気づかせることもできるかもしれない。また、この言い方なら互いに感情的にならず、相手の発言を受け止めつつ、本心を話す機会も相手に与えられる。 ■2. 相手のやり方で対峙しない 同僚の受動攻撃に対峙する際は、明確な言葉を使う必要がある。はっきり、わかりやすく伝えることで感情の行き違いを解消し、健全なコミュニケーションを生み出すのだ。 例えば、エマという女性が会議に出席しているとしよう。エマは自分が発言する度に、同僚のサラが目を丸くしたり、呆れたようにぶつぶつ言ったりして、否定的な雰囲気を作っていることに気がつく。そこでエマは会議の後、サラに直接、明確な言葉を使ってアプローチすることにした。「サラ、私が意見をいう度にあなたが否定的な反応をしていたことに気づいたの。こういった反応はいっしょにプロジェクトを進めることを難しくしているわ。良いチームになるために、どんな点が気になるか一度話し合わない?」その口調は客観的で、相手を理解しようとする気持ちが伝わるものだった。このようなアプローチをされると、サラは自身の考えを直接的な言い方で説明しなければならなくなる。 受動攻撃に対峙するには、きっぱりとした姿勢が大切だ。ある研究によると、「私」を主語にして話すと、相手の反感を大幅に減らせ、自分の意見をより明確に、かつソフトに表現できるという。今度誰かに受動攻撃的をされたら、「『あなた』の態度、おかしくない?」と詰め寄ったり、相手のやり方を真似して皮肉を返したりするのではなく、「『私』はそんな風に言われると傷つきます。どうしたら良いか一度話してみませんか?」と言ってみよう。