北陸新幹線「敦賀駅」、在来線「三次元乗り換え」時の憂鬱 いつまで続く?開業のめでたさも中くらい
鉄道ジャーナル社の協力を得て、『鉄道ジャーナル』2024年6月号「めでたさも中くらいか いつまで続く? 憂鬱な三次元乗り換え」を再構成した記事を掲載します。 【写真】新幹線では珍しい1面2線の形式を持つ福井駅の新幹線ホーム。福井は対東京では乗り換えを解消して便利になったが対関西・中京は課題を抱えた ■みどりの窓口は長蛇の列 3月16日に開業した北陸新幹線金沢―敦賀間の試乗に訪れ、敦賀駅での新幹線と在来線特急の乗り換えを体験した。金沢12時05分発の「つるぎ21号」から「サンダーバード」へと乗り継ぐ。延伸開業に北陸全体が沸いており、金沢駅のみどりの窓口は外国人観光客を含めて長蛇の列。30分から1時間は待ちそうと最後尾の人が言う。列としてははるかに短い「みどりの券売機」に並ぶ。
北陸新幹線と「サンダーバード」「しらさぎ」を乗り継ぐ場合、当日中であれば1本の列車と見なされ(敦賀で途中下車はできない)、別々に買うより530円引きとなる。乗り継ぎ列車は選択できるが、券売機の画面操作を単純に進めると、当然ながら最短の乗り継ぎ列車が表示される。1~2本あとの「サンダーバード」となると、ひと手間ふた手間、画面操作が増える。傍らの案内駅員にレクチャーしてもらいどうにか発券に漕ぎ着けた。操作のスピードは若者でさえ窓口係員の目にも止まらぬ早業とは段違い。私らには切符も買えないと初老夫婦のボヤキが聞こえる。
金沢から敦賀までは在来線特急時代は1時間20分前後だったのが、新幹線では各駅停車の「つるぎ」でも1時間を切るまで縮まった。速達列車は41分で走る。越前たけふまでは平野部が主だから眺めもよいはずだが、新しい新幹線のつねで鬱陶しい防音壁がしばしば遮る。 小松、加賀温泉、芦原温泉があっと言う間に過ぎ、福井に着く。内陸に入って北陸自動車道が現れると越前たけふ。武生市街地は村国山を挟んで離れているが、高架上から見る駅前の田園の真ん中に四角い造成地ができていた。
越前たけふ―敦賀間はトンネル部分を除いてスプリンクラーが設置されており、冬は貯雪型の区間と異なる光景になるはずだ。ふと視線を正面の車端に移すと、QRコードから敦賀駅乗り換え方法を動画で見られること、運行情報も入手できることの案内がスクロールしている。発車後の自動放送でも停車駅や到着時刻は告げず、「JRおでかけネット、またはJR西日本アプリWESTERからご確認いただけます」と案内していた。そういう時代になった。