ゴールドマンよりカーライル、CEO報酬の新時代
(ブルームバーグ): デービッド・ソロモン氏とハービー・シュワルツ氏はゴールドマン・サックス・グループ最高経営責任者(CEO)の座を争ったライバルだ。
ソロモン氏はプライベートエクイティー(PE、未公開株)投資会社、カーライル・グループからの誘いを断り、ゴールドマンのトップに上り詰めた。シュワルツ氏はゴールドマンを退社し、昨年2月にカーライルCEOに就任した。
ソロモン氏の過去6年の報酬合計は1億8900万ドル(約290億円)だが、シュワルツ氏の就任以来の報酬は2億1700万ドルとなっている。
金融機関幹部の報酬で2分化が進んでいる。投資銀行の報酬の高さは有名だが、資産運用会社の上層部の報酬はさらに大きい。カーライルの時価総額はゴールドマンの8分の1だが、シュワルツ氏の報酬は簡単にソロモン氏を追い越した。
投資銀行が株主や規制当局から報酬について圧力を受ける一方で、PE投資会社は上場企業でも、数年にわたって利益目標を達成した場合、トップに巨額の報酬を支払うことができる。
カーライルのライバル企業の中にはシュワルツ氏をしのぐような報酬を用意しているところもある。例えばKKRは、ジョセフ・ベイ、スコット・ナトール両共同CEOに対し、今後数年間にすべての目標を達成すれば、それぞれ10億ドル以上の株式を保有できるインセンティブを与えた。
オルタナティブ資産運用会社は、経営陣の報酬を自社の株価やファンドの業績に密接に結び付けることで投資家の利益と一致させることができると主張している。最高幹部やレインメーカーに多額の報酬を与える方針が引力となり、投資銀行の優秀な人材を引き寄せている。
カーライルは昨年、シュワルツ氏に1億8000万ドル相当の5年間の株式インセンティブパッケージを支給する予定であることを明らかにした。これは、シュワルツ氏がカーライルに長く留まり、カーライルの株価を上昇させた場合に同氏に付与される予定の譲渡制限付き株式報酬だ。カーライルは今年初め、最高幹部と株主の運命をより密接に結びつけるため、シュワルツ氏の株式報酬にさらに3000万ドルを上乗せした。