食害魚でかまぼこ開発 長崎の高校生が準グランプリ 素朴な味、環境への配慮評価
生態系を荒らし、漁業などに影響を与える「地域の課題魚」を使った商品のアイデアを競う「LOCAL FISH CAN グランプリ」(一般社団法人ローカルラボ主催)で、長崎市の長崎南山高2年の赤木来羽(らう)さん(17)が考案したアイゴとマツバガイのかまぼこ「バリうまかよマツ天」が準グランプリの優秀賞に輝いた。 同大会は日本財団「海と日本PROJECT」の一環。4月から全国の高校生などを対象に募集を始め、レトルトパウチも今年から応募が可能になった。赤木さんは藻類の食害を起こし、磯焼けの原因にもなるアイゴとマツバガイを練り上げたかまぼこを考案。動画審査とオンライン面接を経て、今月13日に東京都内であった決勝に進んだ。 県によると、本県では1980年代から磯焼けが見られ始めた。近年はアイゴなど海藻を食べる魚介類の食害が主な原因となり、大型褐藻類の衰退・消失が県内各地で確認されている。アワビの漁獲量減少やウニの身入り悪化などの影響も確認されている。 赤木さんは、漁師だった祖父の影響で小さいころから漁業に興味があった。ここ数年、趣味のイカ釣りをしている時に漁師から「温暖化の影響か魚が釣れないし、磯焼けもひどい」と聞くようになった。そんな時に大会の存在を知り「大好きな海を守りたい」と応募を決意した。 二次審査のオンライン面接では、自作の紙芝居で応募の経緯や商品開発への思いを熱弁した。通過後は杉永蒲鉾(長崎市)が製造に協力。同社工場で約1カ月間、かまぼこの弾力や味、具材の大きさなどを社員と協議し、完成した。 最終審査では審査員による試食もあった。素材を生かした素朴な味で、環境への配慮や将来的なビジョンを訴える熱意も評価された。赤木さんは「まさか自分が選ばれるとは思っていなかった。戸惑いのほうが強かった」と振り返った。 今後、クラウドファンディングなどで資金を集め、新たな商品開発も予定。将来的にはアオリイカの養殖技術を確立させ、海外への輸出も視野に入れる。「長崎が持つ水産業のポテンシャルを最大限に生かす。自分がこれからの長崎を引っ張っていきたい」と力強く言い切った。