エジプト在住シリア人、強制帰国におびえる 新法で難民認定不透明に
[カイロ 24日 ロイター] - エジプト在住のシリア人やシリア難民が、帰国を強制されるのではないかと不安を抱いている。アサド政権崩壊後にエジプトで導入された新法が理由だ。 欧州各国は、シリアで反体制派がアサド政権を打倒するとすぐ、シリア人による難民申請の受付を停止。他の国も対応に動いている。 こうした中でエジプト議会も先週、政府に難民資格を改めて決定する権限を与える法律を承認した。この法律でエジプトにいるシリア人が難民と認定されるかどうかはまだ決まっていない、と複数の関係者はロイターに明かす。 国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)によると、世界中で難民として暮らすシリア人は推定600万人で、主な居住地は近隣諸国。今後半年で100万人が帰国する見通しだが、一部のシリア人は無理に国へ帰される事態を恐れている。 エジプトの何人かの安全保障関係者はロイターに、観光や留学、商用などでエジプトに入国した多くのシリア人の滞在許可の更新を現在停止しており、安全保障上の審査を行った上で決定することになると説明した。 ロイターが取材したエジプト在住シリア人の大半はこの新法を懸念し、帰国命令が出るのを警戒している。 そのうちの1人で自動車部品関連事業をしている男性は、滞在許可の更新手続きが遅れていると認め、最近UNHCRに難民認定を申請したと述べた。 この男性は子どもの学校や自身が経営する会社などエジプトに残りたい理由を挙げた上で「シリアに戻るとしても、決して今ではない」と強調した。 エジプトは自国の経済危機と格闘している状況のため、政府内からは多数の難民は「重荷」だとの声も出ている。 UNCHRによると、エジプト国内にいる難民は約80万人、この中でシリア人はおよそ15万9000人。エジプトの滞在許可を取得しているシリア人は数十万人に上る。