『大奥』“家治”亀梨和也と“お品”西野七瀬に迫られた選択 “倫子”小芝風花がどん底状態に
愛する者と陽の下で身を寄せ合い、夢を語らう。お品(西野七瀬)にとって、その幸せは決して手に入らぬものだった。 【写真】見つめ合う倫子(小芝風花)とお品(西野七瀬) 『大奥』(フジテレビ系)第7話では、倫子(小芝風花)がついに懐妊。幸せ絶頂の中、家治(亀梨和也)とお品は愛する者の命を天秤にかけられた選択を迫られる。 倫子に長らく子ができなかったのは、付き人のお梅(小南満佑子)が部屋で焚いていたお香にそういう作用のある薬草が使われていたからだった。命じていたのは、なんと幼なじみだった定信(宮舘涼太)。彼は、家治の血筋を根絶やしにすべく暗躍していたのである。 家治は自らこの件について調べ始めるも、お梅が口封じに殺されてしまったので何の手がかりも掴めない。一方、子ができない原因が取り除かれたことで倫子はお腹に命を宿す。あれほど、子供はいらないと言っていた家治。だが、それは愛のない両親のもとに生まれた自分のような思いをさせたくなかったからであり、本当に愛する者との子なら別だ。「早くこの子に会いたいな」と倫子のお腹に手を当てる家治の表情は、今までで最も穏やかで幸せそうだった。 けれど、二人に子供ができたことで喜びよりも不安が勝るのが、この大奥。公家の血を引く世継ぎの誕生を避けるため、袂を分かった田沼(安田顕)と松島の局(栗山千明)がそれぞれ不穏な動きを見せる。 田沼は松島と対立する高岳(田中道子)一派に接近。お品を高岳の部屋子とし、家治の新たな側室に据えようとする。お品が目をつけられたのは、料理人・貞之助(小関裕太)との関係がきっかけ。かねてより逢瀬を重ねていた二人は、高岳の部屋子にその事実を知られてしまったのだ。
大奥最大のスキャンダルと言われる「江島生島事件」では密通がバレた御年寄の江島と歌舞伎役者の生島新五郎が流罪、関係者1500人が処罰されたように、大奥の女性が将軍以外の男性と関係を持つのは大罪だった。同じようにお幸の方(紺野まひる)は歌舞伎役者の桜田(猪塚健太)と関係を持ち、そして生まれたのが家治だ。家治は家重(高橋克典)の子として育てられ、その事実が公にならぬよう、桜田は投獄されたのちにお幸の方の遺言に従って亡き者にされた。田沼は貞之助のことも投獄した上で、無罪放免にする代わりに家治の側室になれとお品に迫る。 これまで人目のつかない、狭い蔵の中で愛を育んできたお品と貞之助。決して許されない恋に落ちた二人は陽の下を一緒に歩くことはできない。それでも心から愛する者に出会えたこと、そしてお互いを思い合えた時間は幸せにほかならなかった。ほんの一瞬で燃え尽きる、けれど心の安寧をもたらしてくれる夕日のような恋。「誰かを愛することも愛されることもないと思っていた生涯にあなたさまが彩りを与えてくださったのです」と、後悔はないことを告げるお品の表情に強い意志が滲む。お品は貞之助を救うために、倫子の愛する家治の側室になることを決めた。 かたや、家治も田沼にお幸の方の遺言が公になれば、将軍の座を降ろされると脅され、お品を側室として受け入れる。自分が拒めば、倫子やお腹の子もどうなるかわからない。苦渋の決断を下した二人は皮肉にも、お品が倫子の付き人になって15年目の記念日に男女の契りを交わした。並々ならぬ事情があったことを知らない倫子は当然、裏切られたと感じる。そんな中、陣痛が来て予定よりも早く出産となる倫子。それもまた定信の差し金だった。大奥で信じられる人を失い、信頼している幼なじみの裏切りにも遭っている倫子の状況はまさにどん底。一方で、希望もないわけではない。お知保(森川葵)が松島にそそのかされ、倫子に薬を盛ろうとするもすんでのところで思いとどまったのだ。倫子は事実を知った上で幼い竹千代からお知保を奪いたくないと、そのことを不問とした。誰もが鬼にならざるを得ない大奥。その中でも思いやりの心を手放さない倫子の姿勢が、ここからは周囲に影響を与えていくのではないだろうか。
苫とり子