独VW、中国の新興EVメーカーとの提携関係を強化 小鵬汽車と新型車を共同開発、部品の共同購買も
ドイツ自動車大手のフォルクスワーゲン(VW)と中国の新興EV(電気自動車)メーカーの小鵬汽車(シャオペン)が、提携関係の強化を進めている。両社は2月28日、プラットフォーム(車台)やソフトウェアの共同開発契約に調印。それに加えて、コスト低減に向けた部材の共同購買契約にもサインした。 【写真】VWは小鵬汽車との提携強化を、EVの開発経験が豊富なウルブリッヒ氏に委ねる(VWの中国事業統括会社のウェブサイトより) 提携の始まりは2023年7月26日、小鵬汽車が実施する第三者割当増資をVWが7億ドル(約1054億円)で引き受ける計画に合意したことだった。小鵬汽車は同年12月6日に増資の完了を発表し、VWは小鵬汽車の発行済株式の4.99%を保有する第3位株主となった。
■開発期間の30%短縮目指す 今回調印した契約に基づき、両社は小鵬汽車のSUV「G9」のプラットフォーム(車台)をベースにした2車種の新型EVを共同開発し、2026年にVWブランドで市場に投入するとしている。 さらに両社は、プラットフォームの共通化と部品の共同購買を通じて、生産コストの低減と(新型車の)開発期間の30%以上の短縮を目指していることも明らかにした。 VWは世界トップクラスの量産メーカーであり、2023年のグローバル販売台数は924万台に上る。その規模にものを言わせ、(サプライヤーとの)部材調達交渉を有利に運ぶことができる。部品の共同購買が軌道に乗れば、小鵬汽車は(従前より)調達コストを引き下げられるだろう。
小鵬汽車との提携に関するVW側の事業主体は、100%出資で中国に設立した研究開発子会社のVW中国科技だ。同社のCEO(最高経営責任者)には、VWの中国事業統括会社のトーマス・ウルブリッヒCTO(最高技術責任者)が2024年4月1日付で就任することが決まっている。 ■経験豊富なVW幹部が参画 ウルブリッヒ氏は、VWの主力EV「IDシリーズ」の開発をドイツ本国で主導した。EVの開発・生産に関して、VW社内で最も経験豊富な幹部の1人であり、小鵬汽車との提携に対する期待の高さがうかがえる。