3年乗った電気自動車、プジョーe208。お世辞抜きの本当の評価は?
自動車ジャーナリストのレジェンド岡崎宏司氏が綴る、人気エッセイ。日本のモータリゼーションの黎明期から、現在まで縦横無尽に語り尽くします。 岡崎宏司の「クルマ備忘録」 自家用車はコンパクト系が好きで、それを短期間で次々乗り換えてきたという筆者。新車で買っても車検を取り直すことはほぼなかったのに、なぜかプジョーe208は4年目に突入! 何が良かったのか? 不満はないのか? 本音で報告します。
プジョー e208、3年間の報告
わが家に、プジョー e208GTが納車されたのは2021年1月。つまり、3年経ったということ。で、車検を取り直して4年目に入った。 ふつうは、珍しい話でもないし、特にピックアップするような話でもない。でも、僕にとっては、かなり珍しい話になる。 仕事柄なのか、性格的なものなのか、、自分でもよくわからないが、クルマを短期間で次々乗り換える傾向が僕は強い。いや、「傾向が強い」といより、「性癖が強い」といった方がより合っているかもしれない。 19歳で初めて自分のクルマを持って以来、現在に至るまで、「車検を取り直して」乗り続けたクルマはたった2台しかない。 今のプジョー e208GTと、2代目のルノー ルーテシア(1999年モデル)の2台だけだ。 当時は、2世帯住宅の1階に僕、2階に息子が住んでいて、僕がスポーツ系、息子がSUV系、そして、家内と嫁が気軽に便利に使えるコンパクト系を共有、、そんな形だった。 一例を挙げると、僕がBMW Z4、息子がボルボ XC90、家族で共有するのがルーテシアといった組み合わせだが、これは良かった。
わが家は「自分のクルマに拘る」といったことはまるでなく、みんながTPOに合わせてクルマを選び、好きに乗っていた。そんな中での一番人気はルーテシア。2人の孫もまたルーテシアが大好きだった。 で、結局、ルーテシアは7年間わが家に住み続けたが、これは最長不倒距離。長くても3年、多くは1~2年で買い替えを繰り返してきたわが家にとっては奇跡的な出来事だった。 そして今、第2の奇跡となっているのがプジョー e208。3年間乗ったのだがぜんぜん飽きない。日々、愛着の度合いは強くなってさえいる。その姿を見る度に、ステアリングを握る度に、「いいなぁ!!」と思うのだ。 そんなことで、プジョー e208は車検を取り、ルームクリーニングをし、ボディコーティングをして、わが家に戻ってきた。 ヤレ的なものもまったく出ていないし、ピカピカになって戻ってきたe208は、まるで新車のようだった。 僕は、1964年からフル回転してきた仕事を8年前から計画的に減らし、5年前には好きな仕事だけを受けるという状態にした。 イベントや試乗会にしても「近場での好きなものだけ」に絞るわがままを許してもらった。多い時は年に100日を超えていた海外での仕事もキッパリ辞めた。 なので、5年前辺りから、仕事で束縛される時間はグンと減り、家内とともに、自由で好きな時間を過ごせる時間がグンと増えた。 行動範囲も小さくなり、遠いところに出かけるにしても、わが家から85kmほどの、大好きな箱根のホテルがせいぜい。