鹿児島県警不祥事 3人に有罪判決は出たが、隠ぺい疑惑は闇のまま 残る裁判は本部長を〝告発〟した前生活安全部長のみ
鹿児島地裁で10日あった鹿児島県警元枕崎署巡査部長の盗撮事件判決公判で、有罪が言い渡された。4月以降相次ぎ逮捕された県警関係者4人のうち3人に区切りがついた。残すは「野川明輝本部長が県警職員の犯罪行為を隠蔽(いんぺい)しようとした」と訴える前生活安全部長の情報漏えい事件。裁判はそれぞれ進み、県警は不祥事の再発防止策に取り組むが、県民の疑念を払拭するという課題は解消できていない。 【写真】〈関連〉鹿児島県警不祥事の公判一覧。罪名や判決が一目でわかる
県警では今回の盗撮事件の他、職務上知り得た秘密を外部の記者に送った元曽於署巡査長による情報漏えい事件と、県内の女性にわいせつな行為をした元県警本部警部の不同意わいせつ事件があり、いずれもすでに有罪判決が出ている。 不祥事を巡っては、県警は8月に再発防止策を公表。現場の警察官が組織の改善策を本部長に直言できる他、情報リテラシーへの意識を高める研修などに取り組むとしている。一方、県民への情報公開推進を掲げながら、本部長と幹部で構成する「改革推進委員会」の初会合は冒頭以外非公開とし、性犯罪に対する具体的な抑止策を明記していない点などに批判が起きた。 野川本部長による隠蔽疑惑も客観的に解明されていない。盗撮事件において、捜査の過程で野川本部長が「泳がせよう」などと言い事件指揮簿に押印しなかったとして、前生活安全部長が「隠蔽を指示した」と主張。警察庁は「調査の結果、客観的に見て指示はなかった」とコメントを出しており、県警はこれらを根拠に「隠蔽の事実はなかった」と結論づけている。
前生活安全部長の「告発」が公益通報に該当するかどうかや、逮捕に至る捜査の適法性も議論を呼んでいる。これらの争点を整理するため、地裁は5日、公判前整理手続きを適用する決定をした。弁護人は裁判で無罪を主張する方針で、初公判は早くても来年以降の見通しとなっている。
南日本新聞 | 鹿児島