【速報】 「被害者は『サンドバッグ』となり亡くなった」隣人暴行死で懲役12年 ボクシング練習生だった男に判決 被害者は約30カ所骨折 骨が肺に刺さり死亡「交通事故などでしかできないケガ」と裁判長
■「好きでもなく、嫌いでもなく、見捨てられない人だった」
2人は何を思いながら行動をともにしていたのでしょうか。 唐田さんの思いを知るすべはありませんが、楠本被告は拘置所で記者に当時の唐田さんに対する気持ちを次のように語りました。 【楠本被告】「放っていけないという一面があって、好きでもなく、嫌いでもなく、見捨てられない人でした」 【記者】「放っておけないというのはなぜ?」 【楠本被告】「自分でもわからないです。ただ、1人にすると何をするかわからないし、早く関係を断ち切りたかったけど、一緒にいる間は面倒を見ようと思っていました。僕がやったことでお亡くなりになったのであれば、とても申し訳なく思っています」
■ボクシング練習生だった被告 被害者は30カ所骨折 折れた骨が肺に刺さったことが原因で死亡と解剖医
事件当時、楠本被告は練習生としてボクシングジムに通っていました。 楠本被告が「6~7割の力」と表現する拳が、唐田さんにとってはどれほどの苦痛を伴ったのか。 唐田さんの死因は、両肺がしぼんでしまう「両側緊張性気胸」でした。 解剖した医師らは、肋骨が30カ所ほども折れていて、折れた骨が肺に刺さったことが原因だと説明しました。
■「被害者はサンドバッグのように扱われ亡くなった」と検察側
検察側は、「ボクシングの練習生だったことを考えると楠本被告の暴行は危険なもので、唐田さんは楠本被告からサンドバッグのように扱われ、凄まじい痛みと苦しみを感じながら亡くなった」として、懲役14年を求刑。 一方、弁護側は「楠本被告には軽度知的障害があり感情をコントールしにくく、事件当日の暴行も加減ができずやりすぎた」などとして、懲役8年程度がふさわしいと主張しました。
■「交通事故などでしかできないほどのケガ」懲役12年の判決
5日の判決で大阪地裁堺支部(藤原美弥子裁判長)は「唐田さんが死亡した当時、暴行を加えられたのは証拠から被告だけで、死亡につながったケガは交通事故などでしかできないほどのもの」と指摘、傷害致死罪が成立すると判断しました。 そのうえで「凶器を使っていないとしても極めて悪質な犯行で、刑事責任は重い」などとして、懲役12年の判決を言い渡しました。 裁判長は最後に、楠本被告に対して「裁判に、あなたなりに真剣に向き合ったと感じています。唐田さんを死亡させたことをもっともっと反省してください」と述べました。
■暴行を黙殺した区役所職員も懲戒処分
この事件をめぐっては、区役所職員も楠本被告による唐田さんへの暴行を目撃していながら警察に通報せず、堺市が「職員が毅然と対応していれば死亡は防げた」とする検証結果を公表。 楠本被告に不正に生活保護費を支給した背任罪で略式命令を受けた当時の係長が免職、3人の職員が停職などの懲戒処分を受けています。 (関西テレビ 司法担当 藤田裕介、菊谷雅美)
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