喉元過ぎれば…大災害のたびに注目集める「地域の力」だが、自治会加入率は下がり続ける ごみ捨て放題、協力金も払わず…行政担当者の悩みは深く
□■□ 6月8日に九州南部梅雨入りが発表され、翌9日、西出水町の花立西自治公民館で防災講座があった。参加した住民31人は、市くらし安心課防災対策監の益山剛さんから、自主防災組織の重要性や気象情報の取得方法、非常時の持ち出し品、ハザードマップの活用などを学んだ。 宮崎龍美自治会長(65)は近年、国内外で地震や風水害が多いことから、「住民の防災意識を高めたい」と市に講座を依頼した。「日頃からコミュニケーションを取り、みんなで協力して助け合える自治会にしていきたい」 一方で、33自治会あり、加入率が85%近くもある旧野田町のような地域もある。肥薩おれんじ鉄道・野田郷駅前交差点一帯の加治屋町自治会もその一つだ。 「野田は穏やかでゆったりとした風土がある」と語る中野早裕自治会長(71)は、「地域で楽しく過ごせる雰囲気をつくるのも自治会の役割の一つ。地域づくり、人づくり、住民の見守りなど自治会の役割は大きい」と強調する。
くらし安心課課長補佐兼コミュニティ推進係長の森山佐知さんは「身近な地域の安全・安心を守っている自治会は、いざという時に助け合える心強い味方になると思う。まずは関心を持ってほしい」と話している。 ◇運営に苦慮、会費値上げ 高齢者の割合増え 加入年代の層の変化で収入が減り、運営に苦慮する自治会もある。 出水市役所付近の緑町や黄金町の沖田自治会。会費は一般世帯が月1200円、80歳以上世帯は年間1500円だったが、4月から80歳以上世帯は倍の3000円にした。自治会未加入者で、ごみステーションを利用する住民も年間3000円から4000円に引き上げた。 近年、高齢者の割合が増えて、若い人が減っている。公民館の保険を火災のほか、昨年から地震や台風などによる損害保障を加えたため、保険料が4.5倍近く増えた。吉田大作自治会長(69)は「節約をしているが、活動や行事に費用がかかる。住民には申し訳ないが、今後の運営を見据えて値上げに踏み切った」と話した。
南日本新聞 | 鹿児島