Shutterstock.com

4年前私は、ゴールドマン・サックスの元CFOでテック推進者のマーティ・チャベス（現在はシックス・ストリートのパートナーでバイスチェアマン）が、コーディングができることがトレーダーにとって「英語で文章を書くこと」と同じくらい重要になると予測したと書いた。 当時、シティグループもチャベスの宣言に同意を示し、プログラマー、エンジニア、データアナリストなど約2500人のテクノロジー専門家を積極的に採用し、トレーディングと投資銀行部門に配属する計画を発表した。 投資銀行がAIを業務に活用するようになったことから、金融サービスと技術の融合は成長トレンドが続いている。マッキンゼーの調査によると、銀行業全体で、生成AIは2000億ドル（約31兆円）から3400億ドル（約52兆6000億円）の付加価値を生むと推定されている。 ■銀行はAIをどのように活用しているか 証券業界では、コーディング、コンプライアンス監視からポートフォリオ分析まで、タスクを自動化・効率化するためにAIを活用し、生産性と効果を高めている。 銀行は、AIを活用したツールを開発し、バンカー、トレーダー、ウェルスマネージャーがより良い意思決定を行えるよう支援している。これには、AI主導の株式選択やリアルタイムの顧客インサイトなどが含まれる。金融機関は、ChatGPTのような生成AIモデルを試験的に導入し、コンテンツ作成、質問応答、各種銀行業務の支援を行っている。 AIは、リレーションシップマネージャーが情報を収集・整理・集約し、顧客向けにパーソナライズされたコンテンツやインサイトを生成するのに役立つ。AI主導の自然言語処理（NLP）と生成モデルは、さまざまなソースからのデータを分析して市場の雰囲気を推測し、顧客の投資戦略の調整を支援する。 めざましい発展を遂げるこの技術は、金利、信用、資金繰り、債務不履行などのリスクに対する影響度を評価・予測し、財務健全性審査（ストレステスト）などの規制に沿った対応を後押しする。生成AIは、組織全体からデータを引き出してESGレポートや監査報告書などの文書作成をサポートする。