T&DHD森山次期社長、金利上昇に合わせ超長期債の買い増し加速へ
(ブルームバーグ): 太陽生命保険や大同生命保険を傘下に持つT&Dホールディングス(HD)の次期社長に就任予定の森山昌彦専務執行役員は、資産運用戦略について、計画的に超長期国債への投資を増やしつつ、金利上昇ペースを見極めながら買い増し速度を加速するとの方針を示した。
ブルームバーグとのインタビューで森山氏は、10年を超える超長期債は「需要が多いゾーン」だと指摘。急激な金利上昇は考えにくいものの、日本銀行の金融政策変更を受けて「上昇圧力は徐々に強まる」と見る。日米金利差の拡大で為替のヘッジコストが高くなった外国債の削減も進んでおり、リスクを最小化しながら収益化を目指した運用を一層加速していくことができると述べた。
日銀は19日、マイナス金利解除やイールドカーブコントロール(長短金利操作、YCC)撤廃など大規模な金融緩和政策からの転換を決めた。生命保険各社はマイナス金利政策下でも低金利の国債を一定程度購入してきたが、金利が復活した状態においては、債券運用の巧拙がより問われることになる。森山氏は4月1日付で就任する。
資産運用体制においては、太陽生命や大同生命で手掛けている株式や債券、海外クレジットなどの資産を傘下の運用会社T&Dアセットマネジメントに段階的に集約していく方針を改めて示した。
グループ生保との合同運用や共同投資などを通じて「一社ではできないが一緒に集まればできるような領域」を開拓し、運用の高度化を図る。オルタナティブ資産への投資拡大も継続し、社会課題への貢献という観点から国内インフラ投資にも新たに資金を投じたい考えだ。
T&DHDは、他の生保が保有する契約を買い取り、資産運用によって収益化する「クローズド・ブック(CB)」事業を重点領域の一つとしている。森山氏は同事業を強化するため再保険会社への新たな出資にも意欲を示した。
既存の出資を通じてCB事業のノウハウを吸収する中、地域分散の観点などから「欧州で次の投資をしたい。いろいろな案件を探している状況だ」と説明。案件次第としながらも1500億円規模の投資もあり得るとの認識を示した。