賛否両論となった最終決戦の判断

ヘンケン艦長は無能？　有能？　画像は『機動戦士Zガンダム』メモリアルLD-BOX（バンダイナムコフィルムワークス）

「ガンダム」シリーズにおいては、手榴弾を抱えて自決した「ランバ・ラル」など、視聴者の心に焼き付く最期を遂げたキャラクターがいる一方で、死に際に評価を落とした者も存在します。よく名前が上がるのが『機動戦士Zガンダム』に登場した、エゥーゴの「ヘンケン・ベッケナー」です。 【画像】うわぉ、クビレがスゴい！　エマ中尉の美しいプロポーションを見る（8枚） 　アーガマの初代艦長であり、のちにラーディッシュの艦長を務めたヘンケンは、高い指揮能力があり部下からも人望を集める軍人です。またパイロットの「エマ・シーン」にベタ惚れしており、不器用にアプローチを仕掛ける姿は、視聴者にとっても思わず応援したくなるような、人情味あふれる姿として映っていました。 　そんなヘンケンに賛否両論が巻き起こったのが、『Zガンダム』の終盤、第49話「生命（いのち）散って」で彼が下した判断です。 　コロニーレーザー「グリプス2」を守るラーディッシュは、敵組織「ティターンズ」と「アクシズ」の総攻撃を受けてしまいます。その時ラーディッシュのブリッジのモニターに、好意を寄せるエマの乗るガンダムMk-IIが、「ヤザン・ケーブル」のハンブラビの攻撃により、窮地に立たされている姿が映し出されるのです。 　そこでヘンケンは、ラーディッシュをガンダムMk-IIのところまで進める決断を下し、自艦を盾とすることでエマを守ろうとします。結果的にラーディッシュはハンブラビの攻撃を食らって撃沈しました。 　この判断・命令により、ヘンケンは「私情を優先させた」「部下を無駄死にさせた」として、一部ガンダムファンから「無能」として批判されるに至りました。 　一方で、ヘンケンを擁護する声もあります。実は、命令を下す以前に、部下たちからエマ救援の提案があったのです。ヘンケンは自重をうながすものの、それでも再度部下から「エマを見殺しにできない」と訴えられ、ヘンケンは危険を承知でエマ救援を命じたのです。 　さらに擁護派の意見として、エマを見捨てるという判断をしても、戦況的にラーディッシュは遅かれ早かれ撃沈されていた、という声もあります。たしかに、近くにいた僚機も撃沈されるほどの劣勢であり、エマが操縦するガンダムMk-IIが撃破されれば、次に狙われるのはラーディッシュだった可能性が高そうです。 ＊　＊　＊ 　結果として、ヘンケン艦長の判断によってエマは生き延びます（その後第50話で戦死してしまいますが……）。 　愛する人を守るために「盾」となった人情味あふれる男と評価するか、「私情を優先させた」無能な艦長として評価するか。読者の皆さんはどう思いますか。