都庁ライトアップに16億超、防災ブックに約32億…!小池都政を検証「大盤振る舞いの大型事業」一覧
毎晩、東京の夜を彩(いろど)るイベントが都庁で行われている。今年2月から始まったプロジェクションマッピングだ。プロジェクターを使って地上48階建て、高さ243mの本庁舎の壁面に光と音を使った映像を決まった時間に映し出す。 【現場写真】東京五輪オブジェ約34億円にTOKYOモニュメント約1.6億円…巨額事業の数々 「常設展示としては最も大きな建造物への投影で、ギネス記録に認定されました。土曜日の夜には、プロジェクションマッピングを見るために大勢の人が都庁前の広場に集まります」(全国紙担当記者) 「夜間の観光を充実させるのが狙い」(東京都産業労働局)だという、この華やかな事業の費用は巨額だ。昨年度約7億円、今年度約9億5000万円の計16億5000万円ほどを都は投入したのだ――。 ’16年から2期8年続いた小池百合子知事の都政が7月で任期満了を迎える。都知事選投開票まであと2ヵ月。小池都政下で行われた、億単位の主な大型事業を検証したい。ここ数年は「大盤振る舞いが目立った」と話すのは、元都庁幹部として小池都政を見てきた澤章(さわあきら)氏だ。 「今年度の都の予算は、過去最高の昨年度を上回る約8兆5000億円。景気が上向き、法人からの税収入が伸びているのが要因です。他の自治体が羨(うらや)むような潤沢な予算があるから、小池氏は湯水のごとくカネを使っているのでしょう」 東京湾に面する晴海ふ頭公園には、今年3月に誕生した『TOKYO』とデザインされたモニュメントがある。 「製作費は、1億6000万円ほどかかったそうですが……。それだけあれば、公園に子供の遊具をいくつ置けるのでしょうか。税金の使い方が間違っていると感じます」(現場を訪れた都民) 3月に都内で開かれた『フォーミュラE』は、東京ビッグサイトを囲む1周2.58㎞の公道を含むコースで行われた電気自動車の国際レースだ。 イギリスの会社がレースを主催し、都は二酸化炭素を排出しない『ゼロエミッション・ビークル(ZEV)』普及の後押しになることを期待して3回のイベントを開催。レース当日には会場に100台以上のZEVを展示するなど、昨年度と今年度で約23億円の予算を計上した。 約32億円をかけて作成したのが『防災ブック』だ。『東京くらし防災』『東京防災』の2冊で構成される冊子は、災害時にとるべき行動などをまとめたもの。関東大震災から100年の節目として8年ぶりにリニューアルし、都内の全世帯約750万戸に配布した。だが都民は……。 「配布された箱を開けると一番上に小池氏の写真入りのメッセージが入っていて、宣伝かなと感じました。しかも、PDFをダウンロードすれば全く同じ内容が読めるんです。わざわざ冊子を作らなければ、出費をもっと抑えられたと思います」 東京五輪の際には、都内各所に五輪マークのシンボルとマスコットが設置された。製作費は幹線道路沿いに掲げられた旗などと合わせて約34億円だ。大会が終わった現在、五輪のシンボルは都庁など3ヵ所、マスコット像は13ヵ所に再設置されている。今後、置きっぱなしで「負のレガシー」になる可能性もあるのだ。 東京都はこう釈明する。 「都が実施している各事業は、意義と効果を各所管部局で十分に検討し実施しているものであり、無駄遣いとの指摘は当たりません」(戦略広報調整監) しかし、前出の澤氏は大盤振る舞いを続ければ財政危機が生じかねないと話す。 「企業収益が悪化すれば、都税収入は年間1兆円単位で下がります。こんな使い方を続けていると、景気が落ち込んだ際に都政が立ち行かなくなる恐れがあるんです。小池氏には、巨額を費やした大型事業で費用対効果が上がっているのか証明する義務があるでしょう」 澤氏によると、都の大盤振る舞いは2000億円ほどになるという。紹介した巨額事業は氷山の一角かもしれない。 『FRIDAY』2024年5月10・17日号より 取材・文:形山昌由(ジャーナリスト)
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