イスラエルとアラブ諸国 “関係改善”にハマスが危機感…“大規模攻撃”で中東の対立構図が一変【#みんなのギモン】
さらに、今年に入ってサウジアラビアとイスラエルの間でも「国交正常化」の動きが活発になっていました。もし国交が結ばれれば歴史的なことです。このように、中東ではイスラエルと周辺のアラブ諸国との関係改善の動きが進んでいました。ただ、こうした動きに「焦り」や「危機感」を抱く勢力がいたんです。 それが、イスラエルと対立するイスラム組織「ハマス」です。 ハマスはこれまでイランなど複数のアラブ諸国からの支援を受けてきましたが、イスラエルとアラブ諸国が次々と国交樹立に動く中「このままではアラブ諸国から見捨てられてしまう」と危機感を募らせていたんです。そのため「関係改善の動きを妨害したい」と考えていたとみられます。 そこで起きてしまったのが、今月7日に行われたハマスによるイスラエルへの大規模な攻撃です。多数のロケット弾攻撃や音楽フェスティバルへの襲撃・誘拐など、大きな犠牲が出たことに対してイスラエル側も即反撃しました。双方の死者はこれまでに4800人を超えています。
■ハマスの“狙い通り”か… 構図一変 孤立を深めるイスラエル
ハマスの大規模な攻撃以降、イスラエルの国交正常化の動きに変化はあったのか。その構図は、一変しています。 まず、イスラエルとサウジアラビアの間で行われていた国交正常化交渉は、凍結されました。また大国イランは「反イスラエル」と「アラブ諸国の結束」を呼びかけています。 これはある意味、ハマスの“狙い通り”となり、イスラエルは孤立を深めています。さらに、そこへ「病院の爆発」という大変な事態が起きたため、イスラエルを訪問したアメリカのバイデン大統領とアラブ諸国側との直接会談は中止になってしまいました。 世界各地で「反イスラエル」のデモなども広がっていて、両陣営の対立が深まる形になっています。
■ガザ地区からなぜ出られない? ラファ検問所いつ開通?
もう1つのポイントが、ガザ地区からなぜ出られないのかということです。 18日には、ガザ地区に人道支援物資を搬入するため、エジプトとの間にあるラファ検問所を開通させることで、アメリカとエジプトが合意しました。エジプト側では水や食料、医薬品や燃料などを積んだトラックが120台ほど並び、門が開くのを待っている状態です。 現時点ではまだ「開通した」という情報は入っていませんが、今回の支援物資の搬入については、通過できるのは「最大でトラック20台まで」とされていて、今後さらに多くのトラックの通過を認めることが求められています。