「笑顔」が命の輝き 認知症になっても笑顔はできる 医療法人「優和会」理事長 松永平太
黒木瞳がパーソナリティを務めるニッポン放送「黒木瞳のあさナビ」(3月14日放送)に医療法人「優和会」理事長の松永平太が出演。長寿時代の地域医療について語った。
黒木瞳が、さまざまなジャンルの“プロフェッショナル”に朝の活力になる話を訊く「黒木瞳のあさナビ」。3月11日(月)~3月15日(金)のゲストは医療法人「優和会」理事長の松永平太。4日目は、高齢者の命を輝かせることについて― 黒木)先生の著書『笑って、食べて、愛されて 南房総、在宅看取り奮闘記』のなかで、「マザー・テレサさんはこの世で最大の不幸とは貧困や病ではなく、見放されて誰からも必要とされなくなることだと述べています」という内容が書かれていました。とても印象的な箇所でしたので、詳しく教えていただけますか? 松永)マザー・テレサが亡くなったのは1997年で、私の父と母が亡くなったのも1997年。そして、私が千倉に戻ったのも1997年です。マザー・テレサのキーワードは何かと言うと、1つはPeace、もう1つはLoveなのです。Loveには、男女のLoveもあるかも知れませんが、「誰かから愛され、つながっている」ということが大事です。それがないと、ひとりぼっちになってしまう。若ければ自分で生きていけますが、年を取った場合、何かつながりがないと苦しくなってしまいます。つながりがあればあるほど、愛があればあるほど元気に、病気にもならず幸せに生きていける。認知症にもなりにくいというデータがあります。 黒木)愛とつながりがあれば。 松永)人間と人間のつながりは、自分が強くてわがままであれば「しがらみ」と言われます。自分が弱くて病気になったり、災害に遭えば「絆」と言われる。でも、いつか必ず死ぬのです。死ぬ過程においては弱くなる。だから「つながりが大事、絆が大事なのだ」ということに我々は気付くべきだと思います。 黒木)高齢者の方々が誰からも関心を寄せられなくなったとき、孤独が病気を招いていくわけですよね。先生はどのように高齢者の方々と接していらっしゃるのですか? 松永)デイサービス(通所介護)ですね。皆さん、元気だった時代とヨボヨボになった状態のいまを比較して、寂しそうにするのです。そういうヨボヨボの人たちをみんな集めると「お前、右肩が酷いな」と言ったり、相手は「お前も認知症で口の周りにご飯粒をつけて」と言い返す。「いや、ご飯は食ってない」とか「なんじゃそら」などと言い合うことで、「同じように不具合や障害を持っている人がいるのだな。自分1人ではないのだな」とわかるのです。 黒木)そういう方が集まることで。