監督!やめてください! 命を削った特訓シーン…ウルトラマンレオ50周年 真夏竜インタビュー〈3〉
1974年4月から翌75年3月まで放送された人気特撮ドラマ「ウルトラマンレオ」が今年、50周年の節目を迎えました。それまでの「ウルトラマンシリーズ」とは一線を画し、獅子座L77星の出身で、人間ドラマに比重を置いた作風となっています。「―レオ」をもって、71年の「帰ってきたウルトラマン」から始まった「第2期ウルトラマンシリーズ」は終焉を迎えましたが、今回、スポーツ報知では主人公のおゝとりゲンを演じた真夏竜(74)を取材、半世紀を経ての思いなどを聞きました。このインタビューを全6回の連載としてWEBのみ掲載します。(文中敬称略) 「―レオ」の代名詞とも言える特訓シーン。若く、経験の乏しいレオ=おゝとりゲンは、怪獣や侵略宇宙人に敗れることもあった。そんな時に師匠とも言えるモロボシ・ダン(森次晃嗣)は、愛のムチでゲンを鍛え上げた。ダンの有名なセリフに次のようなものがある。 「その顔は何だ! その目は何だ! その涙は何だ! その涙でヤツが倒せるか? この地球を救えるか?」(第4話) 思うような成果が出せず、「自分には出来ない」というゲンに、ダンは松葉杖を投げつけ、こう罵倒したのだ。 特訓シーンの撮影は、文字通り過酷な状況の中で行われていた。真夏は何度も「危ない」「死ぬかもしれない」と思うことがあったと言う。その代表的なシーンを振り返ってもらった。 第4話「男と男の誓い」(脚本・田口成光、監督・深沢清澄) 人間を斬殺するツルク星人の左右の手刀の切っ先を避けるため、ゲンは滝壺の中に身を置き、滝の水を斬る特訓を重ねる。 「ダン隊長に『その顔は何だ!』と怒鳴られる回ですね。あのシーンは真冬の撮影でね。水が『痛い』という感覚分かります? とにかく、休憩時間にたき火をたいても体が温まらない。朝からずっと滝壺の中に入っていて、最後は足が動かず、撮了した後はバタッ、と水の中に倒れてしまった。一つだけ言えることは『滝は切れない!』(笑い)」 第6話「男だ!燃えろ!」(脚本・田口成光、監督・東条昭平) カーリー星人の突進に敗れたレオ。先を削った丸太を相手に特訓するゲンに、ダンは「丸太には殺気がない」とジープで追い回す。 「撮影で使ったジープは中古車でね。ブレーキが甘くて、バンパーがふくらはぎに当たったりしたんです。東条監督に『これはケガをするか、下手をしたら死にますよ!』って言ったら、『うんうん』ってうなずいて、『はい、本番行こう』って…(笑い)。あの場面で森次さんに『隊長! やめて下さい!』って言うセリフがあるんですが、本当は『監督!やめて下さい!』って言っているんです(笑い)。ファンからは『あのシーンのゲンの目、すごいですね。目で芝居をしていますね』と言われるんですが、本気で抗議している目だから、そりゃそうです(笑い)」 (協力・円谷プロダクション)=20日に続く= ◆宇宙拳法の達人 レオは作中で「宇宙拳法の達人」として描かれており、高い身体能力を活かした「レオキック」「逆立ちキック」「レオチョップ」などの必殺技を持っている。また、工場の煙突を引き抜き、念力でヌンチャクに変えた「レオヌンチャク」を用いたこともあった。
報知新聞社